ビットコイン(BTC)は、9月の低迷の後でマーケットに強気姿勢が戻り、日本時間7日8時30分時点では5万5000ドル付近、日本円では610万円付近となっている。
メッサーリ(Messari)のデータによると、この価格上昇によりビットコインの時価総額は1兆ドルを回復した。
「ビットコインの上昇はここ数カ月、動きを注視してきた人にとっては驚きではない」とQuantum Economicsのアナリスト、ジェイソン・ディーン(Jason Deane)氏はコメントした。
センチメントの改善
マーケットはしばしばモーメント(勢い)とセンチメント(心理)で動く。特にしばらくの間、レンジ相場になっていたあとはその傾向が強いとディーン氏は述べた。
6月と7月、ビットコインはおおむね3万ドル〜4万ドルの間で取引され、8月と9月は4万ドル〜5万ドルのレンジとなっていた。
10月第1週にはセンチメントが大幅に改善され、これまでの数カ月間のパニック状態からのシフトを示している。10月1日以降、ビットコインは1万ドル以上上昇し、今月はすでに25%上昇している。
暗号資産取引所クラーケン(Kraken)のアナリストによると、第4四半期(10−12月期)は過去を見てもビットコインが最も好調な四半期で、2011年以降の平均リターンは119%、2020年は第4四半期に価格が約3倍になった。
Synergia Capitalのリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は、今回の価格上昇は米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が5日、SECは暗号資産を禁止する計画はないと議会で発言したことによるものと考えている。
「ゲンスラー氏は暗号資産に対して非常に強い姿勢を持っているが、暗号資産を消滅させるためにいるわけではない」(ビノコウロフ氏)
「より回復力がある」
伝統的なマーケットは、株価の下落、エネルギー危機の恐れ、中国の不動産業界への懸念など、マクロ経済環境の中で苦戦を強いられているとByteTree Asset Managementの創業者、チャールズ・モリス(Charles Morris)は述べた。
中国の不動産開発大手・恒大集団の債務返済問題に端を発する金融危機の可能性への懸念もあり「グローバルマーケットはディリスキング(リスクを小さくすること)」しており、そのことは「ビットコインは、伝統的なマーケットの乱高下に対して、間違いなくレジリエンス(回復力)を持つようになっている」ことを意味するかもしれないとクラーケンのアナリストはレポートに記した。
モリス氏は、ビットコインの次の大きな上昇は、ウォール街や伝統的な金融会社によるさらなる参入が後押しするだろうと述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:coindesk JAPAN
|原文:Bitcoin Price Surges to 5-Month High Over $54K