暗号資産(仮想通貨)マーケットは、まだイヌをテーマにしたミームコインに飽きてはいなかった。
「ドージキラー」を自称する「柴犬コイン(SHIB)」は、CoinGeckoのデータによると、1週間で約400%上昇し、時価総額でみると13位となった。
なぜ柴犬コインは上昇したのか? なぜ今なのか?──数千もの暗号資産の中の1つのコインの、一見奇妙な値動きに一部の暗号資産トレーダーは頭を悩ませている。
「これが暗号資産と言えるでしょう。マーケットがリスクオンになると、ミームコインが上昇する傾向がある」と暗号資産分析会社デルファイ・デジタル(Delphi Digital)のアシュワス・バラクリシュナン(Ashwath Balakrishnan)氏は述べた。
米EV大手テスラのイーロン・マスクCEOが価格を吊り上げたのではないかという説が有力だが、ブロックチェーンデータを見ると、今回の突然の上昇は、大口保有者、いわゆる「クジラ」の動きが引き起こし、「柴犬アーミー(SHIBArmy)」と呼ばれる個人投資家が続いたようだ。
SHIBクジラの動き
ブロックチェーンデータ会社Santimentによると、価格上昇とともに100万ドル以上の取引数が劇的に増えているという。
また、ウォレットを追跡しているTwitterアカウントは、価格が急騰する数日前の9月30日、6兆を超える柴犬コインを購入したクジラの動きを捉えた。
もう1点、注目すべきは、クジラによる買いが増える前に9月23日に、インドのCrypto Covid Reliefがイーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏から寄付された50兆の柴犬コインのUSDコイン(USDC)への交換が終了したと発表していることだ。ロンドンの暗号資産マーケットメーカー、Wintermuteがこの案件を担当した。
CoinDeskは、柴犬コインの上昇についてWintermuteに取材を試みているが、当記事執筆時点までに返答はなかった。
柴犬コインにおけるクジラの動きは、価格上昇が引き起こされる様子を垣間見せたかもしれないが、Santimentによると、クジラの取引は当面の高値と一致することが多いため、柴犬アーミーにとっては必ずしも良いニュースではないかもしれないという。
きっかけはマスク氏のツイート?
柴犬コインの急騰以来、マスク氏が愛犬の写真をツイートしたことが上昇の引き金になったという説が広がっている。
Floki Frunkpuppy pic.twitter.com/xAr8T0Jfdf
— Elon Musk (@elonmusk) October 4, 2021
「何が上昇の引き金になったのか100%はわからない。だがおそらくマーケット全体が上昇を始めると投資家は安心してしまうのだろう」とIntoTheBlockのリサーチ責任者、ルーカス・アウトミュロ(Lucas Outumuro)氏は語った。
柴犬コインのテレグラム(Telegram)グループやレディット(Reddit)コミュニティには、買い増して保有することを促すメッセージがあふれ、オンライン株取引アプリのロビンフッド(Robinhood)が近々、柴犬コインをサポートするのではないかとの憶測も生まれている。
ロビンフッドの担当者は、この噂について「ノーコメント」と答えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:柴犬(Melody Less/Unsplash)
|原文:No, Elon Musk’s Shiba Inu Tweet Isn’t Pumping SHIB’s Price