時価総額1位の仮想通貨ビットコイン(BTC)の価格は週末に9,000ドル(約97万7287円)を超え、年初からの価格上昇率は150%を上回っている。
2019年6月16日(現地時間)、BTCは、13ヶ月ぶりに9,391ドルの高値を仮想通貨取引所、ビットスタンプで記録した。5月10日の安値、7,524ドルから22%の値上がりだ。
仮想通貨市場の専門家、そして投資家は、過去6日間に見られたBTC価格の急上昇には複数の要因があるとしている。その中でも、最も際立っているのが、きたるフェイスブックの仮想通貨参入だ。
フェイスブックの「グローバルコイン」に集まる期待
ソーシャルメディア大手フェイスブックは、自社のステーブルコイン「グローバルコイン(GlobalCoin)」の発表を6月18日(現地時間)に行う。グローバルコインのローンチは2020年になる予定。
同プロジェクトは、十数社以上からの支援を確保しているとされており、ベンチャーキャピタル(VC)のデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)創業者兼CEOであるバリー・シルバート(Barry Silbert)氏を含む多くの人が、広範囲で仮想通貨導入を加速させると見ている。
また、VCのブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)のゼネラル・パートナー、スペンサー・ボガート(Spencer Bogart)氏は、フェイスブックの仮想通貨プロジェクトが循環型経済を生み出すことで、デジタル資産入手に伴う摩擦を和らげ、BTCの価格にとって、2019年・2020年最大の外的要因による追い風となると信じている。
さらに、フェイスブックの仮想通貨によって、中央銀行ではなく、民間企業が発行した通貨が存在しても良いという認識が生み出され、ビットコインやその他仮想通貨導入の促進につながるだろうというのが投資家コミュニティーの見解だ。
グローバルコインに対して集まった期待が週末にかけてBTC価格をつり上げた可能性が高い。しかし、だとすると、18日にフェイスブックが予定通りホワイトペーパーを発表した際、BTC価格は「噂で買って、事実で売れ(Buy the rumor, sell the fact)」という格言通りにBTCを売るトレーダーの影響を受けやすいだろう。
バイナンス、アメリカ在住ユーザーを排除
世界最大の取引量を持つ仮想通貨取引所、バイナンスは6月14日、利用規約を更新した。改定された利用規約には、「バイナンスはいかなるアメリカ在住者にもサービスを提供することができません」と記されている。
この発表を受け、14日、同社のネイティブコイン、バイナンスコイン(BNB)の価格は、12.8%下落し、0.0037445BTCで1日を終え、16日には1カ月ぶりの安値0.0034906を付けた。
下記チャートは投資家がBNBから資産を引き上げ、おそらくBTCに回したことを示唆している。著名ファンダメンタル・テクニカルアナリスト、アレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏は、このことがBTC価格(米ドル)の追い風になるだろうとの見解を示していた。
近づくライトコインの半減期
ライトコイン(LTC)のマイニング報酬は2019年8月5日に半減する予定。半減によって通貨の供給が減り、通過の価値が高まるため、大抵、通貨の市場価値は急上昇する。
LTCは年初からすでに353%値上がりており、このことも現在のBTC価格上昇に貢献しているかもしれない。LTCは、2019年第1四半期に100%の値上がりを記録し、同期間で最も価格上昇率が高かった仮想通貨だったことも特筆に値するだろう。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Bitcoin image via Shutterstock; litecoin halving counter via Litecoin Blockhalf
原文:3 Reasons Bitcoin Is Rallying Above $9K