ディズニー、ゲーム会社のエレクトロニック・アーツ(EA:Electronic Arts)、株取引アプリのロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)などの企業は、NFTから利益を期待できる。米銀大手シティはそうレポートに記した。
「NFTの出現は、IP(知的財産)、ライセンス、商品化に関連する収益に投資している、あらゆる業種にきわめて大きな破壊をもたらす」とシティは「Disruptive Innovations」と題したレポートで述べた。
「重要な点は、分散化・民主化されたモデルによって、コンテンツ保有者は配信とマネタイズの両面において、従来の仲介者を排除することができること」
NFT(ノンファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アニメやゲーム、アートなどのコンテンツの固有性や保有を証明することができるもので、NFTを利用した事業は世界的に拡大している。
プラスの影響を受ける業界
シティのレポートによると、NFTの登場によってプラスの影響を受ける可能性が最も高い業界はゲームと音楽。
冒頭の企業のほかにアメリカ企業では、アクティビジョン(Activision)、フォーミュラワン・グループ(FormulaOne Group)、ディズニー(Discovery Inc.)、バイアコムCBS(ViacomCBS)、ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE:World Wrestling Entertainment)などがあげられている。
ヨーロッパ企業では、エンブレイサー・グループ(Embracer Group)、フロンティア・ディベロップメンツ(Frontier Developments)、チーム17グループ(Team17 Group)、ユービーアイソフト(Ubisoft)などのゲーム会社、広告代理店のピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)、WPPなどだ。
これらの企業は、コンテンツやブランド商品の販売に重点を置いているか、NFTの作成や取引に関わっているか、あるいはコンテンツクリエーターのNFTビジネスを支援しているという。
マイナスの影響を受ける業界
一方、NFTからマイナスの影響を受ける可能性の高い業種として、実店舗を持つゲーム小売業、伝統的なレコード会社や音楽出版社、伝統的な映像や音楽のストリーミング・プラットフォーム、自社プラットフォームにユーザーを囲い込む「walled garden(壁に囲まれた庭)」型のオンライン・エコシステムなどがあげられている。これらはすべて、コンテンツクリエーターが顧客と直接的な関係を築けば、回避される仲介者だという。
「明確にしておくと、いずれの場合もNFTの台頭がこうしたプレーヤーにとっての終焉となる可能性は低い。だが、コンテンツのエコシステムが分散化・民主化していくなかで(仲介者の)取り分に圧力がかかり続ける限り、潜在的に収益とリターンに対する(相対的な)圧力となる」
ディズニーはまだNFT市場に参入していないようだが、競合のフォックス・エンターテイメント(Fox Entertainment)は6月、NFT事業に1億ドルを投入すると発表している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Disney World(Unsplash)
|原文:Disney, Electronic Arts, Robinhood, WWE to Benefit Most From NFTs, Citi Says