米IT大手IBMは、同社のエンタープライズ向けブロックチェーン「IBMブロックチェーン・プラットフォーム(IBM Blockchain Platform)」のアップグレード版をローンチした。
IBMのフェローであり、最高技術責任者(CTO)のジェリー・クオモ(Jerry Cuomo)氏は、同サービスを「しっかりと管理されたオープンソースの分散型台帳技術(DLT)を主軸に構築された、完全に柔軟なブロックチェーンプラットフォーム。事実上どのようなコンピューティング・インフラ上でも稼動できます」と表している。
再構築された同プラットフォームは、IBMクラウド(IBM Cloud)、アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Service=AWS)、アジュール(Azure)などのパブリッククラウドやリナックスワン(LinuxOne)のような企業内に構築されたプライベートクラウドにデプロイすることができる。また、アプリのデプロイ・管理プラットフォーム「クーベネティス(Kubernetes)」にも対応するようになった。
「このハイブリッド、 かつマルチクラウドなアプローチは、ブロックチェーンネットワークが、複数の環境をまたいで効果的に稼動することを可能とします」とクオモ氏は述べている。
プレスリリースによると、同プラットフォームにいくつかの新機能が追加され、一部の機能も改善されたため、利用する企業は、ブロックチェーンネットワークのライフサイクル全体を管理することができる。
例として、同氏は、同プラットフォームの新しいビジュアル・スタジオ(Visual Studio)コード拡張機能を挙げている。この機能は、スマートコントラクト開発やネットワーク管理機能の統合を支援し、ブロックチェーン構築に伴う複雑さを和らげる。
クオモ氏は以下のように説明している。
「開発者は、開発、テスト運用から生産への移行を1つのコンソールから簡単に実施できるようになりました。拡張機能には、コードのサンプルやチュートリアルが含まれており、どのような開発者でも簡単にブロックチェーン開発者になることができます。IBMブロックチェーン・プラットフォームは、開発者に合わせており、JavaScript、Java、Goなどのプログラミング言語でのスマートコントラクト開発に対応しています」
IBMブロックチェーン・プラットフォームに新たに追加された機能により、プロジェクトは、ブロックチェーンコンポーネントを必要とされたか所、およびタイミングでのみデプロイし、それらを全て一カ所で管理することができる。ユーザーは、ID、台帳、そしてスマートコントラクトを「完全にコントロール」できる。
またこれら機能だけでなく、新たな価格モデルも提供される。企業は使用するサービス分だけを支払う形で「少額から始め」、規模の拡大に合わせて支払う金額を増やしていくことができる。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:IBM image via Shutterstock
原文:IBM Unveils Upgraded 2.0 Version of Enterprise Blockchain