ビットコインは20日、史上最高値となる約6万6000ドルまで上昇し、今年初めの約50%の調整を覆した。アメリカ初のビットコイン先物ETF(上場投資信託)「プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(ProShares Bitcoin Strategy ETF)」が19日に取引開始となったことで、トレーダーは依然として楽観的で、暗号資産(仮想通貨)市場全体のさらなる上昇を期待している。
だが買い手が上昇を維持できなければ、さらなる上昇は制限される可能性がある。FxProのシニアアナリスト、アレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は史上最高値を更新したことで「3万ドルからの反発時にポジションを築いた大口投資家が積極的な利益確定を始める」可能性があると警告した。
今のところ、ビットコインのオプション市場では、トレーダーはより大きな値動きを期待している。
「先週、ビットコイン先物ETFの承認を期待して急上昇した後、インプライド・ボラティリティは徐々に高くなっている」とGenesis VolatilityのCEO、ゴレゴリー・マガディーニ(Gregoire Magadini)氏はメールでコメントした。
「年末までに10万ドルというシナリオが再び盛り上がっている」
最新価格
●ビットコイン (BTC):6万6087.65ドル、+2.57%
●イーサリアム(ETH):4095.42ドル、+6.88%
●S&P500:+0.37%
●ゴールド:+0.83%
●10年物米国債:1.654%
史上最高値更新でさらなる上昇期待
価格チャートは、強気モメンタムが向上することでビットコインは上昇を続ける可能性があることを示している。
日足終値が6万5000ドルを上回れば、7万4000ドルと8万6000ドルに向けた目標が定まる。ビットコインが現在の上昇を維持するには、継続的な買い圧力が必要となる。
新たな強気相場のスタート
ブロックチェーンデータもさらなる上昇を示している。例えば、ビットコインの実現価値に対する市場価値を示すMVRV(market value to realize value)を見ると、価格はまだ過大評価されてはいない。
「2013年、2017年、2021年の強気相場を見ると、3.0以上のMVRVは当面のピークを示している」と暗号資産調査会社コインメトリクス(Coin Metrics)は19日、ニュースレターに書いている。
MVRVは最近、5月以来初めて2.0を超えた。これは2020年の強気相場がスタートしたときにも見られたことだ。
ETFは新たなフロンティアを切り開く
暗号資産が世界中で人気となるにつれ、市場参加者はますます強気になっている。
先物ベースのETFは投資家にとって第一の選択肢ではないが、暗号資産とETFの組み合わせは、双方に新しい投資家を引き寄せることで大きなインパクトを生む可能性がある。世界のETFの運用資産残高は9.4兆ドル(約1080兆円)、年率26%で成長している。一方、暗号資産の時価総額は2.75兆ドル(約315兆円)。
先物ETFの取引初日が何かのサインだったとすれば、アメリカの市場は明らかにビットコインへのアクセスが容易になることを待っていたといえる。
アルトコイン状況
●ポリゴン、イーサリアムからの独立性高まる:イーサリアムのレイヤー2ソリューション「ポリゴン(Polygon)」上のアプリケーションが急増していることが、ブロックチェーン開発プラットフォームAlchemyのレポートで明らかになった。昨年の30から現在は3000以上のアプリケーションが稼働しているという。これは、ポリゴンのエコシステムが、イーサリアム上のプロジェクトから独立しつつあることを示している。
●ビットワイズ、ポリゴンファンドをローンチ:暗号資産運用会社のBitwise Asset Managementはポリゴン(Polygon/MATIC)ファンドをスタートさせた。イーサリアム・スケーリングの高い人気に持続力があるかどうかの試金石となる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Analysts Expect Further Upside After Bitcoin Hits All-Time High