ビットコイン(BTC)はすでに年初から2倍以上になっているが、6万6000ドル超の史上最高値を更新したことで新たな強気予測が生まれている。
「ビットコインの史上最高値更新は、5月に50%下落してい以来、長い間待ち望まれていた」と暗号資産取引所AAXのリサーチ&ストラテジー責任者、ベン・カセリン(Ben Caselin)氏はコメントした。
同氏はビットコインは10万ドルを超えて上昇すると予想しており、10万ドルを新たな価格ターゲットとする市場アナリストが増えている。
ビットコイン・ブロックチェーンの誕生から12年、デジタル市場やウォール街のトレーダーは、これまで以上にビットコインの動向に注目していると言えるだろう。
今月だけでビットコインは50%以上も上昇、米証券取引委員会(SEC)がビットコイン先物ETF(上場投資信託)を初めて承認したことがきっかけとなった。ニューヨーク証券取引所で19日に取引開始となったプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF(ProShares Bitcoin Strategy ETF)は、取引初日に5億7000万ドル(約650億円)を集め、売買代金は10億ドル(約1100億円)の驚異的なレベルを記録し、史上最も成功したETFの1つとなった。
これまでの史上最高値は、4月に記録した6万4889ドル。以来、アナリストにとってはこれが目標だった。今は簡単に手に入る指標がほぼなくなり、予想は難しくなっているかもしれない。
チャートが語ること
CoinDeskのダマニック・ダンテス(Damanick Dantes)は20日、価格チャートから、8万6000ドルが強気派の次の大きな価格ターゲットになる可能性があると述べた。
「全員の目は10万ドルに向けられているが、個人投資家が殺到し、現物に連動するETFを含めて、多くの資金がビットコインに向けられたとき、10万ドルが終わりになることはないだろう」(AAXのカセリン氏)
CoinDeskは主な市場アナリストに意見を聞いた。まとめると、全員が強気ではない。一部のアナリストは、ビットコインが6万ドルを超えて、さらに上昇することは難しいだろうと語った。
強気予想
●マシュー・ディブ(Matthew Dibb)氏、スタックファンズ(Stack Funds)の最高執行責任者(COO):プロシェアーズのETFが取引開始となって以来、個人投資家の参入が増加している。先物市場の資金調達率は上昇しているが、年初に見られた高水準ではない。「我々の次の目標は、短期的には8万ドル」。中期的に市場がさらに自信を深めれば、ビットコインからイーサリアム(ETH)や他のアルトコインへの資本ローテーションも予想される。
●ウルリク・リッケ(Ulrik Lykke)氏、ARK36創業者:「2021年第4四半期(10−12月期)あるいは2022年第1四半期(1−3月期)にビットコインが10万ドルに近づいても驚きではない」
●ジュアン・ペリサー(Juan Pellicer)氏、IntoTheBlockのリサーチアナリスト:「この成長は、ビットコインに参入しつつある機関投資家クライアントの存在を示している」
●サミュエル・インディク(Samuel Indyk)氏、Investing.comのアナリスト:過去に暗号資産市場で大きなイベントが発生したときのように、修正が起こる可能性がある。「例えば、2017年にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でビットコインの先物取引が始めった際には直後に弱気相場となり、価格が回復するまでに約3年かかった」。
他の意見
1つのリスクは、原油や天然ガスの価格が高騰し、ビットコイン・ネットワークのエネルギー使用に対する監視が厳しくなる可能性があることとオアンダ(Oanda)のシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏は述べた。特に北半球に冬が近づくと、その可能性は高くなる。
「この冬、複数の国でエネルギー不足に陥った場合、各国政府は厳しい姿勢を取る可能性があり、ハッシュレート(ビットコイン・ネットワークの計算能力)を混乱させる可能性がある」とモヤ氏は警告した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:After Bitcoin’s All-Time High, What’s Next?