FATF、仮想通貨のマネロン対策で国際基準を採択──フロリダの本会議が終了

マネーロンダリングやテロ資金供与対策を主導する政府間会合の金融活動作業部会(FATF=Financial Action Task Force)は6月21日(現地時間)、取引所などの仮想通貨サービス提供業者(Virtual Asset Service Providers=VASP)に対する規制基準を採択した。

FATFは19日、フロリダ州オーランドで3日間にわたる本会議を開き、各国が規制基準を遵守することの重要性を共有し、最終日の21日に採択された。基準には同業者へのKYC(本人確認=Know Your Customer)義務を強化することなどが含まれ、今後規制当局や業界での対応が迫られそうだ。

21日に公表されたのは、解釈ノートとガイダンス。1000ドルまたは1000ユーロを超える取引では、仮想通貨サービス提供業者は顧客管理(CDD=Customer Due Diligence)を義務づけられる。また、業者間で仮想通貨を移動する際、送信者だけでなく受信者のKYC情報を求める内容も含まれた。個人でも仮想通貨サービス提供業者になりうることも明記された。

Dapps(分散型アプリケーション)が取引業務を行なったり、またはその行為を支援し、法定通貨や仮想通貨による価値を移動する場合、そのDappsを所有または運営する者、または両者はVASPの定義に含まれることになる(ガイダンス)。

FATFは各国による実施状況をモニターし、2020年6月に12カ月レビューをするとした。

FATFは2018年10月にFATF勧告を改訂し、仮想通貨におけるマネロンやテロ資金対策を定めた。2019年2月には解釈ノートの草案を公開し、広くコメントを求めていた。

日本は2019年秋にFATFの相互審査を予定しており、マネロンやテロ資金対策の体制整備が求められている。規制当局者らは、5月に成立した改正資金決済法で「暗号資産」の管理のみを行う業者も「暗号資産交換業」に含めた理由について、FATFの定義に対応するためだと語った。

文:小西雄志
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock