くじら保有残高、今年最高水準に──だがビットコインは洗練されていない:チェイナリシス

ビットコイン(BTC)の「くじら」(大口投資家)はインフレ懸念が高まるなか、価値保存の可能性に期待して、再びビットコインを購入しているようだ。

1000ビットコイン(BTC)以上を保有する大口投資家は先週、14万2000ビットコインを購入し、大口投資家の保有残高は20万ビットコイン近くに達したとブロックチェーン分析会社のチェイナリシス(Chainalysis)は2日発表したレポートに記している。この数値は2021年の最高水準だ。

世界中でインフレ懸念が高まるなか、大口投資家が再び買いを強めていることは、ビットコインの主な使用目的が投資であることを示している。

「ビットコインはデジタル・ゴールドと考えられているという見解を裏付けるもの、あるいは機関投資家がビットコインを利用して長期的な取引を行っているだけかもしれない」(チェイナリシス)

セントルイス連邦準備銀行によると、市場がインフレ率をどのように予想しているかを示す10年間のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は最近、10年ぶりの高水準の2.64%に上昇。ビットコインは10月に40%近く上昇し、史上最高値6万6975ドルを記録した。

洗練されていないビットコイン

だがチェイナリシスによると、長期的にはイーサリアム(ETH)と比べたときに、Web3やDeFi(分散型金融)などでの役割を拡大する必要があるという。

「ビットコインの利用は、イーサリアムや他のレイヤー1ブロックチェーンのような洗練されたものには達していない。ビットコインをラッピングすること(ビットコインをイーサリアム・ブロックチェーンで利用可能な、互換性を持つコインに変換すること)は、DeFiにおける高品質な資本としてのビットコインの使用を実現するために必要なこと」とチェイナリシスはレポートに記した。

さらに「ビットコインがWeb 3.0の資本として利用できるなら、そのときは、希少性の高い交換可能な資産としても、暗号資産のよりイノベーティブな側面を持つ有用な資産としても未来が開けるだろう」としている。

くじらの保有残高の増加は、最近の価格上昇は力強く、持続可能であることを示している。ビットコインは、くじらの保有残高が減少し始めた第1四半期(1−3月期)に勢いを失い、5月には大きく下落している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Chainalysis
|原文:Bitcoin Whale Holdings Reach 2021 High Amid Inflation Fears