【市場動向】ビットコイン、テーパリング開始発表で不安定な値動き──取引高も減少

ビットコイン(BTC)は3日、米連邦準備制度理事会(FRB)が月額1200億ドルの債券購入の縮小、いわゆるテーパリングの計画を発表したことに反応し、不安定な値動きとなった。

FRBが金融刺激策の一貫として行った前例のない大規模な債券購入、いわゆる「量的緩和(QE)」は、リスクが高いと考えられていた暗号資産(仮想通貨)のような資産には追い風となった。テーパリングによる流動性の低下は、暗号資産などへの投資の減少につながる可能性がある。

米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合終了後、ビットコインは約5%下落したが、6万ドルのサポートレベル付近ですぐに反発した。

アナリストは強気姿勢を維持しているが、取引高の減少を価格の上昇の勢いが鈍っているサインと見る向きもある。

最新価格

●ビットコイン(BTC):6万2997.19ドル、−0.64%
●イーサリアム(ETH):4630.40、+2.78%

●S&P500:4660.57、+0.65%
●ゴールド:1772.56ドル、−0.83%
●10年物米国債:1.596%

少ない取引高でビットコイン上昇

ビットコインの現物(スポット)市場の取引高は、過去1カ月間の価格上昇にもかかわらず、減少している。アーケーン・リサーチ(Arcane Research)のデータによると、取引高の7日間平均は前週から10億ドル近く減少している。

だが一部のアナリストは、ビットコインが年末に向けて上昇した場合、取引高は増えると予想している。

「ビットコインは10月20日に史上最高値を更新して以来、取引高が大幅に減少しているが、再び史上最高値に挑戦することになれば、取引高はかなり増えるはず」(アーケーン・リサーチ)

コインベース(Coinbase)でも過去1週間の取引は比較的静かで、ビットコインは総取引高の21%だった。だが同社は、ビットコインが停滞するなか、アルトコインの取引が活発になっていると指摘した。

「イーサリアムの取引高は18.51%に増加し、柴犬コイン(SHIB)を3位に追いやった。この状況が勢いを増せば、年末に向けてイーサリアムが再びビットコインの取引高を上回る可能性もある」とコインベースは機関投資家向けニュースレターに書いている。

アルトコイン状況

イーサリアムのガス代高騰で、レイヤー2人気高まる:イーサリアムの平均手数料は6月下旬から2300%上昇し、現在は56ドルになっている。そのため投資家の関心は、より高速で安価な取引を実現するレイヤー2プロダクト、およびライバルのブロックチェーン、いわゆる「イーサリアム・キラー」に向かっているようだ。CoinGeckioによると、ソラナ(SOL)は234ドルで取引され、過去24時間で13%上昇し、カルダノ(ADA)を抜いて時価総額第5位の暗号資産になった。またポルカドット(DOT)も3日、53.37ドルの史上最高値を記録した。

●クラーケン、柴犬コインを上場せず:暗号資産取引所クラーケン(Kraken)は1日、2000件の「いいね」を獲得すれば、2日に柴犬コイン(SHIB)を上場するとツイートした。だが、当記事執筆時点で「いいね」は7万7000を超えているにもかかわらず、まだ柴犬トークンはクラーケンで取引できない。この対応の不備に対して、あるユーザーは「You have lost me as lifetime customer now」とツイートした。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk, TradingView
|原文:Market Wrap: Bitcoin Holds Above $60K After Fed Taper Announcement