ビットコインの2021年の2回の強気相場は、以前の年とは違っている。大きな違いはインプライド・ボラティリティが低下していることだ。
暗号資産(仮想通貨)の価格変動に対する市場の予想を表すインプライド・ボラティリティは、ビットコインが4月に史上最高値を記録したときも、10月に史上最高値を更新したときも上昇せず、ビットコインが投資資産として、より成熟している可能性を示している。
上昇しないインプライド・ボラティリティ
2021年以前、ビットコインの3カ月インプライド・ボラティリティ(IV)──3カ月後の価格についての投資家の予想──は、データ会社スキュー(Skew)によると、強気と弱気の両方の局面で上昇していた。しかし今年、上昇したのは5月に相場が下落したときのみだ。
「インプライド・ボラティリティ(IV)は、将来、何が起こるかわからないときに上昇する傾向がある」と機関投資家に特化した店頭取引(OTC)デスク、パラダイム(Paradigm)のパトリック・チュー(Patrick Chu)氏は述べた。IVの上昇は「ワオ!どこまで高くなるんだ?」というような市場の姿勢を反映している。
この変化は、ビットコインのリアライズド・ボラティリティの低さ、つまりすでに起きているビットコインのボラティリティとも一致しているとチュー氏は付け加えた。
「市場はきわめて満足している。最近のリアライズド・ボラティリティはビットコインが成熟するなか、低く抑えられている。そのため、ほとんどの(我々の)顧客も現状、オプション購入を急いでいない」(チュー氏)
オプション取引も低迷
スキューのデータを見ると、10月15日にアメリカ初のビットコイン先物ETF(上場投資信託)が登場して取引高が急増したとき以外は、10月20日にビットコインが史上最高値を更新したときでさえ、ビットコイン・オプションの取引高は比較的低いままだったことがわかる。
「市場が同じようなレンジに留まっているときは、トレーダーは興味を失いがちだ」とチュー氏は付け加えた。
だが一部のアナリストは、ビットコインは初期段階にあり、従来の株式市場や資本市場よりも不安定な状態が続いていると述べた。
Genesis Global Tradingのノエル・アチソン(Noelle Acheson)氏は、インプライド・ボラティリティは「安定しているかもしれないが、例えば、S&P500に比べるとまだ非常に高い」とコメントした。
一方、投機的なトレーダーの関心はイーサリアム(ETH)に移ったようだ。
イーサリアムの3カ月インプライド・ボラティリティとオプション取引高は、スキューによると、2日に史上最高値を更新したことを受けて、どちらもこの数日で上昇している。
ビットコイン先物ETFに続いて、イーサリアム価格に連動するETFが登場するとの期待が広まっているなか、オプショントレーダーは、イーサリアムの長期的な強気投資に関心を向けている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Nicholas Cappello/Unsplash
|原文:Lower Trading Volatility in 2021 Crypto Bull Runs Signals Maturing Market