イオス財団(EOS Foundation)のCEO、イブ・ラ・ローズ(Yves La Rose)氏は3日、バーチャルイベントにおいて、「現状のイオスは失敗である」と述べた。CoinDeskが入手した原稿によって明らかとなった。
ローズ氏はスピーチの中で、イオスブロックチェーンプロトコルの過去と未来について言及。同プロジェクトのネイティブ通貨イオス(EOS)は「ひどい投資」だったと語った。
その非難の矛先は、サポートと開発を手がけたケイマン諸島に拠点を置くブロックチェーンソフトウェア企業Block.oneに向けられ、プロジェクトではBlock.oneには「もう頼れない」ため、イオス財団がさらに力を入れる予定であることが明らかにされた。
スピーチでは、新しいコアチームの結成、補助金プログラムの創設と分配、新製品向けの「4つの柱」に基づいたロードマップの構築を含めた、この先の道筋も発表された。
Making final preparations for tomorrow’s invite only virtual #EOS event for press outlets and key opinion leaders within the Chinese community.
— Yves La Rose (@EosNFoundation) 2021年11月2日
This will be my first public appearance since the announcing my plans to launch an #EOSFoundation back in August!#WeAreConsensus #ENF pic.twitter.com/JclrsH8qbj
「明日の招待制バーチャルイオスイベントのためのメディアと、中国の主要オピニオンリーダー向け最終プレゼンを作成中。
8月にイオス財団立ち上げの計画を発表して以来、初めて公の場に登場!
自らの成功の犠牲
ローズ氏は、イオスの停滞した現状は、その鳴り物入りの誕生が一因であると主張。イオスは2018年、1年がかりの前例のない新規コイン公開(ICO)で、41億ドルの資金を調達したことで有名だ。
「イオスは自らの成功の犠牲になっていることは明らかだ」とローズ氏は語る。「イオスのトークンセールは、調達資金額という点で、あらゆる記録を破った。こうして超多額の資金を調達したために、超過大な期待に応えなければならない立場に置かれたのだ」
スピーチではその後、Block.oneへの非難が展開され、犯罪の可能性すらほのめかされた。
「現時点では、私が話したイオス内外のトークン保有者の過半数が、Block.oneは自らの能力を故意に偽ったという見解で一致しており、これは過失や詐欺に当たる」と、ローズ氏は指摘した。
指導的な組織として、イオス財団はBlock.oneに取って代わることができ、プロジェクトは自由に拡大できると、ローズ氏は主張する。同氏は5月、イオスプロトコルへのインフラ提供を手がけるイオス・ネーション(EOS Nation)のCEOを辞任し、8月に財団を設立した。
「現在私たちは、イオスコミュニティーがBlock.oneから距離を置き、事実上彼らをはじき出すことのできる立場へとシフトする只中にある。正式にこのシフトが完了するまでは、Block.oneがイオスの重荷になり続けるだろう」と、ローズ氏は語った。
Block.oneのCEO、ブレンダン・ブラマー(Brendan Blumer)氏は先月、イオス財団に好意的な次のようなツイートを投稿していた。
Since #EOS was launched by the public, I haven’t seen this level of innovative community collaboration. From @EdenOnEOS working on revolutionary on-chain governance to @EosNFoundation driving community funding, I’ve never been more optimistic on decentralized gov. #Bullish
— Brendan Blumer (@BrendanBlumer) 2021年10月18日
イオス立ち上げ以来、これほどの革新的コミュニティーの連携を見たことがない。画期的なオンチェーンガバナンスに取り組む@EdenOnEOSから、コミュニティー資金調達を推進する@EosNFoundationに至るまで、分散型ガバナンスにこれほど楽観的になったことはない 」
Block.oneは最近、部分的にイオスブロックチェーン上に築かれ、ウォール街のサポートも受けた暗号資産取引所「Bullish」の開発へと重点を移している。まだ立ち上げられていない同取引所は7月、特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場すると発表し、評価額は90億ドルであった。
「4つの柱」
ローズ氏はスピーチの中で、比較的新しいイオス財団が、分散化の混乱状態を緩和するために、ナラティブとブランディングの管理を引き受けることを望むと語った。
「私たちが抱える問題は、分散化ではなく、中央集権化の欠如だ。中央集権化した組織のみに可能な方法で、エコシステムを支えられる中央集権的存在だ」と、ローズ氏は述べた。
そしてローズ氏は、プロジェクトを前に進めるための指針となる4つの「柱」を提案。Audit+、Wallet+、Docu+、API+と名付けられたそれぞれの柱には現在、作業部会が存在し、プロジェクト前進のためのロードマップとなる「ブルーペーパー」をそれぞれが作成する予定だ。その発表目標は「次の旧暦の正月まで」となっている。
新たな投資
プロジェクトには、エコシステムへ「1億5000万〜2億ドル」以上の投資を検討するベンチャーキャピタルから話がきており、イオス財団は、700万ドルの補助金を監督した後には、そのような資金投資をサポートする準備があると、ローズ氏は語った。
スピーチの最後にローズ氏は、プロジェクトでの決定的なリーダーシップを求めた。
「好かれるためにここにいるのではなく、仕事をするためにここにいる。イオスに欠けているのは、リーダーシップだ。模範となり、全員のために偉大なことを成し遂げることに向けて毎日姿を見せるリーダーだ」と、ローズ氏はスピーチを締めくくった。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
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|原文:EOS Foundation CEO: ‘EOS as It Stands Is a Failure’