スマートフォンゲームを中心にエンターテインメント事業を手がけるミクシィ(mixi)が、ブロックチェーンを基盤技術にするデシタル資産を活用した新規事業の開発を本格化させる。
ミクシィは5日、NFTで事業を急拡大させてきたカナダのDapper Labs Inc(ダッパー・ラボ)と、業務提携することで合意したと発表。Dapper Labsが開発したブロックチェーン「Flow」を利用して、国内におけるNFT事業の開発作業を進めていく。
NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲームなどのコンテンツの固有性や保有を証明することができるもので、NFTを利用した事業は世界的に拡大している。
Dapper Labsは、全米プロバスケットボール(NBA)選手のデジタル・トレーディングカード(NFT)を、Flowブロックチェーンで取り扱うプラットフォームの「NBA Top Shot」を開発し、急成長を遂げてきた。ユーザーは、「モーメント(Moment)」と呼ばれる15秒程度のNBA選手のハイライト動画が複数入ったパッケージを購入・取引することができる。
ブロックチェーン技術への投資が急拡大
ミクシィは日本市場において、Dapper Labsの知見と技術を生かしながら、得意とするエンターテインメントとスポーツ領域でのNFTサービスを創出する計画だ。
ミクシィの木村弘毅社長は5日付の発表文で、「Dapper Labsとタッグを組み、Flowを活用したサービス展開を行うことで、日本での新たなスポーツの楽しみ方や財源として、またさまざまなエンタメコンテンツのデジタルアセット化を通して日本のNFT市場を賑わせたいと考えている」とコメントした。
また、ミクシィはブロックチェーン関連のテクノロジーに対する投資を加速している。同社は今年9月、ブロックチェーンを基盤技術にする暗号資産(仮想通貨)の取引サービスを手がけるビットバンクに、約70億円を出資。ビットバンクの26%株式を取得した。
今年は世界的にも、暗号資産を含むブロックチェーン領域におけるベンチャーキャピタル投資が急拡大している。調査会社のCBインサイツ(CB Insights)がまとめたレポートによると、同領域における7~9月期のVC投資額は、四半期ベースで過去最高の65億ドル(約7400億円)を記録した。
Dapper Labsも9月に、2億5000万ドル(約275億円)の資金をVCを含む投資家から調達しており、北米市場に限らず、アジアでの事業拡大を進めている。9月に発表された調達ラウンドでは、Dapper Labsの評価額が76億ドル(約8400億円)に達したと報じられた。
|テキスト・編集:佐藤茂
|トップ画像:ミクシィの木村弘毅社長(ミクシィ提供)