NFTアート市場についての最新調査によると、暗号資産(仮想通貨)の世界では、ジェンダーギャップ(男女格差)が続いており、業界はまだ長い道のりの途中だという。調査会社Art Tacticが行った調査をブルームバーグが伝えた。
過去21カ月のNFT(ノンファンジブル・トークン:非代替性トークン)アートの売上のうち、少なくとも77%は男性アーティストに支払われ、女性アーティストにはわずか5%しか支払われなかったという。
注意点は売上の16%は性別が「不明」なこと。「少なくとも」とあるのはそのためだ。もうひとつは、NFTアーティストの数が述べられていないこと。Art Tacticは売上の合計から数値を算出したが、この分野での女性と男性の割合を見れば、全貌がより明確になるだろう。
売上トップ10に女性は1人
バイヤー、アーティストにかかわらず、格差は明白。アーティストでミュージシャンのグライムス(Grimes)は今年初め、NFTマーケットプレイス「Nifty Gateway」で大きな売上を記録したことで、Art Tacticが発表したNFTで最も売れたアーティスト・トップ10に唯一の女性として名を連ねた。
こうした状況に大きな驚きはない。暗号資産は以前から男性優越主義の代名詞として批判されてきた(ただし暗号資産のより進歩的な部分では、そうした状況を変えつつある)。
今年初め、ビープル(Beeple)のNFTアート「Everydays」はクリスティーズのオークションで6900万ドルで落札された。この作品は過去13年に描かれた5000枚の画像をコラージュしたもので、なかには人種差別や女性差別をテーマにした画像もある。
Art Tacticの調査は、暗号資産における富の不平等の問題も指摘した。
暗号資産をベースにしたクリエーター・エコノミー推進者は、NFTは「草の根」運動と主張している。だがArt Tacticによると、過去21カ月のNFTアートの売上の55%はわずか16人のアーティストによるものだという。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:6900万ドルで落札されたビープルの「Everydays」(Christie’s)
|原文:At Least 77% of NFT Art Sales Going to Male Creators: Study