ビットコインは10日、10月の米消費者物価指数(CPI)が予想以上に高くなったことで、約6万8950ドルの史上最高値を更新。しかし、チャートに短期的な買われすぎのサインが現れ、その後は値を戻している。
ゴールドも6月以来の高水準まで上昇。上図に見られるように、ゴールドとビットコインの相関関係は10日、マイナスからプラスに転じた。
「インフレ率が過去30年で最も高い上昇率を記録したことで、リスク回避の動きが生まれ、ドルは上がり、上位の暗号資産は軟調となった。ウォール街はインフレがまだ衰えていないことを十分認識しており、インフレヘッジ需要は年末まで強く続くだろう」とオアンダ(Oanda)のエドワード・モヤ(Edward Moya)氏は述べた。
最新価格
●ビットコイン(BTC):6万5916.17ドル、−2.37%
●イーサリアム(ETH):4641.23ドル、−3.04%
●S&P500:4464.71、−0.82%
●ゴールド:1852.17ドル、+1.23%
●10年物米国債:1.563%
スタグフレーションへの備え
「世界経済に深刻なパラダイムシフトが起きていると考えている。インフレ率が公式目標を上回り続けていることのリスクは、今や深刻なリスクとなっており、企業や家計の意思決定に再び、明らかな影響を与えている」とドイツ銀行は10日、リサーチノートに記した。
CPIの発表を受けてドイツ銀行は短期的な経済成長予測を引き下げ、需要停滞(景気後退)とインフレが同時に起こる「スタグフレーション」を予想していると述べた。
「市場にとって、金融状況は歴史的基準では信じられないほどの緩和状態にあり、ブレーク・イーブン・インフレ率(市場が予想するインフレ率)もこの2〜3カ月で上昇している」
減少する取引所のビットコイン残高
取引所のビットコイン残高は減少を続けており、投資家がビットコインを取引するのではなく、ウォレットで保管していることを示している可能性がある。
「取引所からの移動が続いた結果、取引所のビットコイン残高は供給量の12.9%と数年ぶりの低水準まで下落している」と暗号資産データ会社グラスノード(Glassnode)はブログに記した。
取引所からの移動は先週、ビットコインが横ばいとなったときも続き、10日に史上最高値を更新する前の強気サインとなった。
アルトコイン状況
●テザー、アバランチで利用可能に:米ドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)がアバランチ(Avalanche)ブロックチェーンで利用可能になる。テザーが対応したブロックチェーンとしては、ポルカドット(Polkadot)やソラナ(Solana)などに続く、9つ目のブロックチェーンとなる。
●ENS、5億ドルのエアドロップで急騰:イーサリアム・ネーム・サービス(ENS:Ethereum Name Service)はイーサリアム・アドレスのみならず、ウェブドメインを示すことができるNFT(ノンファンジブル・トークン)を発行できるプロジェクト。エアドロップ(トークンの配布)を行ったことで、そのネイティブトークンが急騰した。
●ビープルの3D動画彫刻「HUMAN ONE」とNFT、約2900万ドル(約33億円):ビープルの3D動画彫刻「HUMAN ONE」とNFTが落札予想価格の約2倍の2890万ドルで落札された。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ビットコインとゴールドの相関関係(CoinDesk, Koyfin)
|原文:Market Wrap: Higher Inflation Expected to Send Bitcoin and Gold Higher Into End of Year