東海東京証券が、シンガポールのデジタル証券取引所の「ADDX」と共同で、デジタル資産(セキュリティトークン)事業を開始した。
東海東京の11日付発表文によると、同社は、発行体企業が不動産を裏付け資産とするセキュリティートークンを発行して資金を調達できる、「STO(セキュリティトークン・オファリング)」のサービスをスタートさせた。
ADDXを運営するICHX社は、東海東京フィナンシャル・グループが出資するシンガポール企業で、シンガポール証券取引所のSGXも株主として支援している。東海東京は、地方銀行とも連携しながら、不動産資産を活用した新たな資金調達方法を国内企業に提供していく。
当面は、数十億円規模の不動産物件を投資対象として、信託受益権を組み合わせた投資スキームを裏付けとしたセキュリティトークンを扱っていく。募集は日本とシンガポールで行われ、募集終了後にはADDXに上場される。ADDXに上場することで、アジアの投資需要も捉えていく。
東海東京は将来的に、開発中のスマートフォン専業証券を通じて、不動産に限らずさまざまな資産を裏付けとしたデジタル証券を小口で販売する計画だ。
ADDXも同日、東海東京との共同文書を公開。その中で、「ADDXとのパートナーシップによって、東海東京は、流通市場(セカンダリーマーケット)で取引できるセキュリティトークンを扱う日本初の企業となる」と述べた。
ADDXによると、東海東京は2019年に同デジタル証券取引所に出資を行った。ADDXが今年1月に実施したシリーズAラウンド(5000万ドル相当)は、東海東京が主導した。
|テキスト・編集:佐藤茂
|トップ画像:シンガポールの金融街(Shutterstock)