ソーシャルメディア大手フェイスブック(Facebook)が独自の仮想通貨「リブラ(Libra)」を発表し、規制面での疑問点が浮上したことを受け、主要7カ国(G7)の議長国であるフランスは、G7内で問題点を調査するためのタスクフォース(作業部会)を設立することを発表した。
新設される仮想通貨タスクフォースは、欧州中央銀行(ECB)のブノワ・クーレ(Benoit Coeure)専務理事によって率いられ、マネーロンダリングやその他の問題を防ぐために、仮想通貨がどのように規制されているかを調査すると欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのフランソワ・ビルロワドガロー(Francois Villeroy de Galhau)仏中銀総裁は明かしている。ロイターが2019年6月21日(現地時間)に報じた。
この動きはあらかじめ予定されていた可能性が高い。フランスのブルーノ・ルメール(Bruno Le Maire)財務相は19日、リブラが成長し従来の通貨に取って代わる懸念を示し、7月のG7財務相・中央銀行総裁会議までに、リブラプロジェクトについての報告書を用意するよう総裁らに呼び掛けている。
リブラが「独立通貨となること」は「論外だ」とルメール財務相は述べている。「絶対に起こり得ないし、起きてはならない」
ビルロワドガロー氏は21日に、 フランスは「イノベーションに対してオープンでありつつも」規制はしっかりと行っていくことを目指すとコメントしている。
フェイスブックは18日にリブラプロジェクトに関する具体的な詳細を初めて公開した。同社はリブラのホワイトペーパーだけなく、リブラの開発、運営を行っていくために子会社、カリブラ(Calibra)と独立のコーソシアム、リブラ協会(Libra Association)を設立したことも発表した。
リブラは、複数の法定通貨と国債で裏付けられたステーブルコインになるとされている。初期は国際送金手段として使用され、最終的には、金融サービスのエコシステムになる計画。
ステーブルコインの概念は規制当局向けにも定義される必要があると、ビルロワドガロー氏は指摘する。
リブラが発表されて以来、アメリカやイギリスなど、その他の国の規制当局もリブラに関する規制問題の可能性に言及している。
米連邦議会上院銀行住宅都市委員会は、リブラについて説明を求める公聴会を7月16日に開催すると発表した。
ドイツの欧州議員マーカス・ファーバー(Markus Ferber)氏も、精査の必要性を呼び掛けており、企業が「規制が存在しない環境で、仮想通貨を新たに生み出し、運営することは許されてはならない」と述べている。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Francois Villeroy de Galhau image courtesy Bank of France
原文:G7 Forming Task Force in Response to Facebook’s Libra Cryptocurrency