ビットコインのプット・オプションは下落リスクに備えるものだが、その動向は弱気センチメントを暗示している。デリビット(Deribit)などの主要オプション取引所では26日にオプションの決済日(満期)を迎えるため、価格変動が大きくなる可能性がある。
暗号資産デリバティブ調査会社スキュー(Skew)によると、3カ月プット・コール・スキュー(コールに比べたプットのコストを示す指標)はプラスに転じ、6週間ぶりに3%の高水準を記録した。
プラスの数値はプット(弱気の投資)の需要がコール(強気の投資)を上回っていることを示している。月初にはマイナス5%で、強気バイアスを示していた。
1週間と1カ月のプット・コール・スキューも今月、同様に上昇しており、ゼロを超えて弱気バイアスを示している。6カ月プット・コール・スキューはニュートラル。
市場に恐怖心
数値がプラスとなっていることは、トレーダーが明確に弱気になっていることを必ずしも意味するわけではなく、現物市場や先物市場のロング・ポジションに対して下落リスクを避けるためである可能性がある。
いずれにしても、ビットコインが11月10日に史上最高値6万8990ドルを記録した後、16%下落していることを考えると、市場に恐怖心があることは確かだろう。
米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和政策の段階的縮小)を前倒しするのではないかとの懸念と、懸念から生まれたドル高が暗号資産(仮想通貨)を下落させたようだ。11月10日に発表されたアメリカのインフレ率が予想を上回ったことから、主要法定通貨に対する米ドルの価値を示すドルインデックスは3%上昇した。
FRBは今月から毎月の債券購入プログラムの減額を開始したが、高インフレが継続するようであれば、テーパリングを加速させる姿勢を見せている。24日に発表された11月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、インフレ率の上昇が続くようなら、早期の利上げを検討するという。
そのため、今後数週間はドル高が続き、ビットコインの上昇が抑えられる可能性がある。
オプション満期
スキューのデータによると、5万1900件、約30億ドル相当のオプションが26日、満期を迎えます。そのうち約25億ドルは世界最大の暗号資産オプション取引所デリビットで協定世界時(UTC)8時(日本時間26日17時)に決済される。
建玉の大半は、ビットコインの史上最高値を上回る行使価格のコール・オプションに集中している。Max Pain(オプション購入者が満期時に最も損失を被る価格)は5万8000ドル。
満期を迎える前に価格が動く可能性はあるが、今回は感謝祭の祝日(25日)の翌日で取引高は少なくなると見られている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Deribit
|原文:Bearish Sentiment Grips Bitcoin Ahead of $3B Options Expiry