DEX、利用はクジラが占める──ガス代高騰で個人投資家は回避

DeFi(分散型金融)は金融の民主化を目指して登場した。インターネットの登場で、誰もがコンテンツにアクセスできるようになったように。

だが、データ提供会社カイコ(Kaiko)によると、分散型取引所(DEX)の利用は主にクジラ(暗号資産の大口保有者)に限られているという。

「この数カ月、DEXでは平均取引額は増加しているが、取引数は横ばい。DEXの利用はクジラに偏っているようだ」とカイコは11月29日に発表したレポートで述べた。

カーブ・ファイナンス(Curve Finance)の平均取引額は50万ドル〜100万ドル。一方、ユニスワップ(Uniswap)、スシスワップ(SushiSwap)、バランサー(Balancer)などの大手DEXでの平均取引額は1万ドル〜2万ドルだが、中央集権型取引所(CEX)の平均取引額2000ドル~4000ドルの約10倍に相当する。

だが、CEXの1日あたりの取引件数は数百万件にのぼる。大手DEXの1日あたりの取引件数は5万件以下、カーブとバランサーは1000件を下回っている。

カイコーのアナリストは、クジラが多くなっているのはイーサリアム(ETH)のガス代(取引手数料)が高騰していることによるものと分析している。

「大きな取引額はイーサリアムの取引手数料が高騰しているためだろう。多くの個人投資家はDEXを利用できなくなっている。混雑やスケーラビリティの問題から取引手数料が100ドルを超えることも珍しくない」(カイコのレポート)

ブロックチェーン分析会社チェイナリシス(Chainalysis)によると、DEXが中央集権型取引所よりも取引額が大きくなっている主な理由は、裕福な国々でDeFi人気が高まっていることが理由という。

バイナンスチェーン(Binance Chain)、ソラナ(Solana)、ポルカドット(Polkadot)、アバランチ(Avalanche)など、安価で高速な取引を実現するスマートコントラクト・ブロックチェーンがこの1年に複数登場しているが、イーサリアム・ブロックチェーンは依然としてトップを走っている。

Defi Llamaのデータを見ると、イーサリアムベースのDeFiの預かり金額(TVL:Total Value Locked)は1785億ドル。バイナンスチェーンの192.5億ドルの9倍以上になっている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Kaiko
|原文:Whales Dominate DEXs as High Ethereum Fees Keep Retail Investors at Bay