LINE、NFTの総合マーケットプレイスを来春開始──日本円で決済可能

LINEの子会社で、独自のブロックチェーンを開発してきたLVCが、NFTの販売と取引を総合的に行えるマーケットプレイス「LINE NFT」の運営を始める。

LVCは15日、2022年春をめどにLINE NFTの提供を開始すると発表。今年6月に立ち上げた「NFTマーケットβ(ベータ版)」との違いなど、新たなマーケットプレイスの詳細を明らかにした。

日本でもNFTの販売量が増加傾向にあるなか、LVCはコンテンツを保有する企業がNFTを販売でき、国内約8900万人のLINEユーザーがNFTを自由に取引できる一気通貫したマーケットプレイスを開発。友達同士がNFTを日本円で取引できる、よりシンプルで使いやすいマーケットプレイスをローンチさせる。

(画像:LVCの発表文より)

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

LINEのNFTマーケットβでは今年、人気アイドルの「週末ヒロイン ももいろクローバーZ」や、ゲームソフトなど幅広いデジタルコンテンツを保有するスクウェア・エニックス(スクエニ)が手がけたNFTが二次取引(二次流通)され、注目を集めた。

コンテンツを持つ企業、いわゆるIP(知的財産)ホルダーは、独自のサイトなどでNFTを発行・販売(一時流通)させ、ユーザー間取引などの二次流通はNFTマーケットβを利用したかたちだ。

LINEが本格化させるNFT事業

(画像:LVCの発表文より)

来春に始まるLINE NFTでは、IPホルダーはNFTを同マーケットプレイスで販売することが可能だ。LVCは、LINE NFTでの売り出し前にNFTコンテンツの審査を行う。「LINE」アプリを利用する個人は、アプリ内のウォレット「LINE BITMAX Wallet」機能を無料で追加すれば、LINE NFT上でNFTの取引に参加することができる。

NFTは、ブロックチェーン上で発行、取引されるコンテンツのデジタル証明で、LINE NFTで流通するNFTは、LINEのブロックチェーン「LINE Blockchain」上で展開される。

グローバル市場では、OpenSeaが最大のNFTマーケットプレイスで、世界中のユーザーがNFTの売買を行っている。イーサリアムはNFTの基盤として多く利用されているブロックチェーンだが、ユーザー数と取引量の急増などにより、イーサリアムにおける取引手数料(「ガス代」と呼ばれる)が高騰する課題が指摘されてきた。

NFTに関連する法律は各国で異なり、LINE NFTは日本国内のみでの運用となる。GMOインターネットグループとSBIホールディングスも今年、NFTマーケットプレイスを開設し、楽天は2022年にNFT事業への参入を発表している。

使いやすさを追求したUIとUXを充実させながら、いかに「キラーコンテンツ」と呼ばれる人気のNFTコンテンツのラインナップを揃えられるかが、マーケットプレイス事業の拡大のカギになりそうだ。

また、海外に拠点を持つLINEが今後、NFT事業のグローバル化をいかに進めていくかも注目されるだろう。

|テキスト・編集:佐藤茂
|フォトグラファー:多田圭佑