フェイスブック仮想通貨の「規制に悩んでいる」。シンガポール中銀

シンガポールの中央銀行、シンガポール金融管理局(MAS)は、フェイスブック(Facebook)が最近発表した仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」に関してさらなる情報を求めている。

ブルームバーグの報道よると、MASのラヴィ・メノン(Ravi Menon)長官は、2019年6月27日(現地時間)に開かれた記者会見で、リブラが恩恵をもたらす可能性を認めつつも、MASはリブラの仕組みに関する懸念についてフェイスブックと協議を進めていると発表した。

現在MASは、リブラを規制面でどう分類するのかの判断に悩んでいる。「現時点において、我々は断言ができない」とメノン長官は明かした。

リブラがもたらし得る恩恵に関して、メノン長官は、リブラは既存の国際送金手段が抱える「費用が高く、非効率的で、時にリスクが高い」といった問題点の「解決に役立つかもしれない、非常に興味深い案を提供する」との見解を示している。

しかし、MASはこれらの恩恵が既存の電子決済システムにどう勝っているのかを評価するために、より多くの情報を必要としている。リブラの経済、セキュリティー、プライバシーなどさまざまな要素を含め、「(リブラが)どう機能するのか」をMASは正確に理解しなくてはならないとメノン長官は語った。

リブラの恩恵とリスクを理解するために、さらなる情報を必要としている規制当局はMASだけではない。

イタリア、イギリス、フランスの政府・規制当局もリブラには精査すべき点があるとしている。

アメリカでは、リブラについて説明を求める公聴会を、米連邦議会上院銀行住宅都市委員会が7月16日、米下院金融サービス委員会がその翌日の17日に開催する予定。

マクシーン・ウォーターズ下院金融委員長は、リブラが最終的に米ドルに匹敵する存在になるかもしれないと懸念を表している。また、フランスのブルーノ・ルメール(Bruno Le Maire)財務相は、リブラが「独立通貨となること」は「論外だ」と19日に述べている。「絶対に起こり得ないし、起きてはならない」とも。

主要7カ国(G7)の議長国であるフランスは、G7内で問題点を調査するためのタスクフォース(作業部会)を設立することを21日に発表した

翻訳:町田優太
編集:浦上早苗
写真:Facebook image via Shutterstock
原文:Singapore’s Central Bank Wants More Information on Facebook’s Libra Crypto