暗号資産(仮想通貨)市場は9日、多くが下落した。格付け会社フィッチ・レーティングスが中国恒大集団を部分的な債務不履行(デフォルト)と認定したことが要因となった。トレーダーはこの問題に起因する世界的な低迷リスクを懸念しているようで、株式市場も下落した。
ビットコイン(BTC)は24時間で約4%下落、5万円を割っている。一方でエックスアールピー(XRP)は約3%上昇し、際立った値動きを見せた。
アナリストはこの1カ月の暗号資産のリターンの分散化に意味を見出そうとしている。例えば、下図を見ると、ビットコインのドミナンス(暗号資産全体の時価総額に対するビットコインの割合)は、9月以来の低水準まで下落。最近のアルトコインの好調さを反映している。
「2018年1-3月期と4-6月期にビットコインのドミナンスは40%を持続的に下回った。その後、“暗号資産の冬(crypto winter)”と呼ばれるアルトコインの大きな下落でビットコインのドミナンスは回復した」とFxProのアナリスト、アレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏はコメントした。
ビットコインドミナンスの回復は投資家のリスク意欲の低下を示すとされている。
最新価格
●ビットコイン:47,764ドル、−6.0%
●イーサリアム:4,134ドル、−6.6%
●S&P 500:−0.7%
●ゴールド:1,776ドル、−0.4%
●米国10年債:1.492%
現在、アナリストはビットコインと株式の相関関係を監視している。2つの相関関係はビットコインに対する投資家心理を反映する可能性がある。
「ここ数週間、ビットコインはリスク資産として浮上しており、12月3日のIT株の下落に伴い、ここ数日は米株式市場との相関関係が0.6以上に急上昇している。だが暗号資産は今週はじめの株式のような反発はなかった」と暗号資産投資会社スタック・ファンズ(Stack Funds)のレナード・ネオ(Lennard Neo)氏は9日、レポートに記した。
暗号資産ファンドへの資金流入鈍化
前週は3日の下落の間に暗号資産ファンドから4000万ドルが移動し、合計1億8400万ドルの流出超となった。
「ビットコインファンドは1億4500万ドルの流入超となったが、3日には4200万ドルが移動しており、投資家の不安を示すことになった」とコインシェアーズ(CoinShares)は今週はじめのレポートに書いている。
ビットコインと複数のアルトコインからの移動のほとんどは先週後半に起き、急激な価格変動に敏感な動きとなった。
だが投資家はアルトコイン市場にチャンスを見出している。例えばコインシェアーズによると、ソラナ(SOL)ファンドは最近の価格変動の影響を受けていないようで、引き続き460万ドルの流入超となった。ソラナは1週間で約19%下落している。
アルトコイン
●ポリゴン、ゼロ知識証明のスタートアップ「Mir」を約4億ドルで買収:イーサリアムのスケーリングソリューションとして注目を集めるポリゴンは9日(日本時間10日)、ゼロ知識証明の開発を行うMirを約4億ドル(約450億円)で買収したと発表した。8月には同じく、ゼロ知識証明のHermez Networkを2億5000万ドルで獲得している。ポリゴンは現在、10億ドル規模の事業拡大戦略を進めており、今回の買収はイーサリアムのスケーリングに貢献できるものだと述べた。
●コインベース、DeFi(分散型金融)関連サービスを提供:暗号資産取引サービス大手のコインベース(Coinbase)は、DeFi(分散型金融)関連サービスを開始、暗号資産のレンディング(融資)などから得られる高利回りを獲得したい顧客がターゲットだ。サービスは米ドル連動型ステーブルコインのダイ(DAI)からスタート。DeFiレンディングプラットフォームのコンパウンド(Compound)に預け入れ、利回りを獲得する。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk, TradingView
|原文:Market Wrap: Bitcoin Dips as China’s Evergrande Defaults, Altcoin Outperformance Could Fade