カザフスタンの暗号資産(仮想通貨)マイニング事業者は、事業拡大に向けてアメリカとロシアに注目している。カザフスタン政府がマイニングを制限しているためだ。
「(カザフスタンの)マーケット全体が利用可能な電力という点で、あっという間に干上がってしまった」とCMG Cryptocurrency Mining GroupとMaverick Groupの共同操業者デニス・ルシノビッチ(Denis Rusinovich)氏は語った。
中国などから参入した多くのマイニング事業者によって、カザフスタンの電力は枯渇し、政府は深刻な電力不足への対応に苦慮している。
カザフスタン政府は10月、新しいマイニング施設の電力使用量を国全体で合計100メガワット(MW)に制限する方針を打ち出し、カザフスタンにおける暗号資産マイニングの拡大に上限を設けた。
マイニング事業者Xiveのディダール・バクバウ(Didar Bekbau)氏は、来年アメリカを訪問し、アメリカでのマイニング事業を検討する予定と述べた。
BitFuFuは電力不足のためにすでにカザフスタンの施設を放置し、アメリカに新たにマイニング施設を開設している。
ベクバウ氏は、アメリカの複数の州の規制環境はマイニングに適しており、カザフスタンの二の舞になる可能性は小さいと考えていると述べた。
一方、ルシノビッチ氏は、ロシアの豊富な電力と電力源の多様さはマイニング事業者にとって大きなチャンスと語った。ロシアでの事業には地政学的リスクはあるが、正しい手続きに則って会社を設立すれば、政府から不当な扱いは受けないだろうという。
破られた約束
カザフスタンの電力会社KEGOCは、9月からマイニング施設への供給制限を開始した。複数のマイニング事業者によると、KEGOCは需要ピーク時にマイニング施設への電力供給を停止し、都市部に電力を供給すると述べたという。
マイニング事業者からの抗議を受けて、エネルギー大臣は11月、合法的に運営されているマイニング施設への電力供給は停止しないと発表。しかし、約束はすぐに破られた。
12月には古くから運営しているマイニング施設を含め、合法的に運営しているマイニング施設向けの電力のうち、20万〜50万kWの電力がカットされたという。
ベクバウ氏は、カザフスタン南部で運営していた2500台規模のマイニング施設を閉鎖したと11月後半に語っている。
電力制限にもかかわらず、カザフスタンのマイニング事業者すべてが希望を捨てたわけではない。故障した発電所が復旧すれば、KEGOCの方針は変わると考える事業者もいる。また、一部の事業者は、自前で再生可能エネルギーによる電力を確保しようとしている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Miners Look Away From Kazakhstan for Growth Opportunities