ビットコイン(BTC)の取引とカストディを手がけるNYDIGは12月14日、10億ドル(約1140億円)の資金調達を行い、評価額は70億ドルを超えた可能性があると発表した。CEOのロバート・ガットマン(Robert Gutmann)氏は、ビットコインは「あらゆる業界」に広がる可能性があると声明で述べた。
今回の資金調達の規模はビットコインのインフラという観点で、同社の動きが機関投資家と消費者の双方に及ぶハイブリッドなものになることを反映していると同社最高技術責任者(CTO)パトリック・セルズ(Patrick Sells)氏は述べた。
セルズ氏は、同社のさまざまなパートナーシップ、ウォレット、インフラをウェブにおけるAWSに喩えた。それが、今回の巨額の資金調達の理由だとしている。
「顧客を奪い合う個人投資家向け暗号資産取引所を構築するのではなく、我々はさまざまな方法でビットコインへのアクセスを提供できるよう、既存企業を強化したいと考えている」(セルズ氏)
NYDIGのミッション
あらゆるアプリケーションにビットコイン・ウォレットを組み込み、例えば、銀行が暗号資産取引を提供したり、企業が顧客にビットコインでポイントを与えるようにすることが同社のミッションだ。
「資金調達は、我々の価値提案が広く受け入れられたことを示している。来年以降、アメリカではあらゆる用途にビットコインが登場するだろう。それがNYDIGのビジネスモデルだ」とセルズ氏は述べた。
そうした取り組みに向け、14日のプレスリリースには「ビットコインとライトニングの決済、資産のトークン化、スマートコントラクトなどの機能を備えた最近のビットコイン・プロトコルのアップグレードを活用して、機関投資家グレードのビットコイン・プラットフォームの開発をさらに進める」計画が記されていた。
NYDIGは2021年3月、モルガンスタンレーなどから2億ドルを調達。その1カ月後にはさらに1億ドルを調達している。
10億ドルの資金調達は、暗号資産デリバティブ取引所FTXが7月に発表した9億ドルの資金調達を上回り、暗号資産業界で過去最大級の規模となった。一方、FTXは現在、320億ドルの評価額で15億ドル(約1700億円)の資金調達を計画していると報じられている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Institutional Bitcoin Broker NYDIG Valued at $7B in Whopping $1B Funding Round