NFT(ノンファンジブル・トークン)やメタバースのプロジェクトに分散型レンダリングサービスを提供するスタートアップ「Render Network」が3000万ドル(約34億円)の資金調達を終えた。
プレスリリースによると、Render Networkはコミュニティを成長を見据えて、人員の倍増、レンダリングエンジンの改良、さらにNFT発行の準備を進めるという。
レンダリングとは、コンピュータープログラムを使って、2Dもしくは3Dモデルをもとに写実的でリアルな画像、あるいは非写実的な画像などを生成することを言う。
「潜在的に数千万人のアーティストがオンラインになっているなかで、我々はユーザーはまだ1万人に過ぎない」と創業者のジュールス・ウルバック(Jules Urbach)氏は述べた。同氏はRender Networkと密接に連携しているレンダリングソフトウェア会社OtoyのCEOも務めている。
メタバースの可能性
ソーシャルネットワーク大手のフェイスブックが社名をメタ(Meta)に変更したことで、メタバースへの関心が高まっている。使用されていないGPU(Graphics Processing Unit)パワーをネットワークを介してアーティストに提供し、GPUパワーの提供者には独自トークン「RNDR」を支払うRenderの取り組みは、同種のサービスとしてはおそらく最もよく知られている。
今回の資金調達は、Multicoin Capitalが主導し、Alameda Research、Solana Foundationなど、ソラナ(SOL)エコシステムの主要ステークホルダーが参加した。またNFTベンチャーのSfermionも加わった。
「資金調達はRender Networkを成長させるために不可欠。我々がやらなければならないことは、率直に言って、かなり大規模だ」とウルバック氏は述べた。
同CEOによると、メタの社名変更のニュースに左右されることなく、資金調達は完了したという。同氏は具体的な調達額を明かさなかったが、Multicoinの担当者は、3000万ドル相当のトークン取引を認めた。
数ヶ月で3倍
3D画像やアニメーションなど、自宅のコンピューターでは処理できない複雑な画像や動画をレンダリングするためにRenderのサービスを利用するアーティストが増え、この数カ月で稼働は「3倍」に増加したとウルバック氏は述べた。
また同氏によると、Renderは、映画『トイ・ストーリー』シリーズなどの制作で知られるピクサー(Pixar)の巨大なレンダリングパワーに匹敵し、アーティストにとってはアマゾンが提供するようなクラウドサービスよりも安価という。
独自トークンの「RNDR」は、GPUパワーの提供者が受け取るもので、すでにイーサリアム(ETH)ブロックチェーンと、レイヤー2ソリューションのポリゴン(Polygon)で稼動している。ウルバック氏は、次はソラナ(SOL)ブロックチェーンへの展開を予定しており、ソラナのNFTマーケットプレイス「Metaplex」も視野に入れていると述べた。
CoinGeckoによると、RNDRはこのニュースを受けて、24時間で34%上昇した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Souro Souvik/Unsplash
|原文:Decentralized Rendering Engine Raises $30M as Metaverse Graphics Go Big