テスラ、そしてコインベース上場に沸いたビットコイン【市場分析2021】Vol.3

2021年の暗号資産（仮想通貨）市場を振り返り、グローバル金融の中で急速に進化している市場の重要な教訓に焦点を当てるシリーズの3回目（最新価格は下部に掲載）。

昨日は1月から2月にかけてビットコイン（BTC）とドージコイン（DOGE）を上昇させたソーシャル・メディアの影響力を振り返った。今日は、テスラのビットコインへの関与が、さらに価格に影響を与えた様子を振り返る。盛り上がりは、4月に米暗号資産取引サービス大手のコインベース（Coinbase）がナスダックに直接上場するまで続いた。だがまもなく、沈静化した。

テスラからコインベースへ

米電気自動車大手のテスラが2月、15億ドルのビットコイン投資を明らかにしたあと、ビットコインは5万ドルを突破した。

市場の動きを受けて、あるTシャツメーカーは「Elon’s Candle」とプリントしたTシャツを19.99ドルで売り出した。この「キャンドル（ろうそく足）」は、マスク氏が後押ししたビットコインの劇的な値動きを表している。

3月、マスク氏は「ビットコインでテスラを買えるようになった」とツイートし、ドラマを盛り上げた。

You can now buy a Tesla with Bitcoin
— Elon Musk (@elonmusk) March 24, 2021

この発表は、それまで誰も考えていなかった時価総額1兆ドルに向けてビットコインを押し上げた。

だがチャートを読むプロの目からは、ビットコインは「買われすぎ」に見えた。この言葉は、価格上昇が進み過ぎ、早過ぎた可能性があることを意味する。

ビットコインは再び下落に転じ、50日移動平均線の3万ドル付近となった。どうやら、この水準で買い手の関心は再び高まったようだ。

ビットコインは年初の価格、2万9112ドル超えを維持するように思え、新たな楽観をもたらした。

伝統的な金融メディアや、ベテランコメンテーターは、目前に控えたコインベースの直接上場を話題にし始め、ビットコインは上昇を再開した。

その後の数カ月でビットコイン価格は2倍以上になり、暗号資産市場の価格変動の大きさを改めて知らしめた。

2020年12月〜2021年2月上旬のビットコイン価格（Damanick Dantes/CoinDesk, TradingView）

コインベース上場

コインベースのブライアン・アームストロングCEO（CNBC, modified by CoinDesk）

4月14日、アメリカ最大の暗号資産取引所コインベース（Coinbase）が、ナスダックに直接上場した。

「暗号資産業界にとっては、大きな転換点だ。急速に成熟する市場の信頼性において重要な瞬間」とライバルの取引所ビットスタンプ（Bitstamp）のハンター・メルガート（Hunter Merghart）氏は述べた。

コインデスク株の初値は381ドル、ナスダックが前日公表した1株250ドルの基準価格を52％も上回る価格となった。だが株式アナリストが予想した目標株価はもっと高かった。なかには600ドルという予想もあった。

だが株価はそこまで上昇しなかった。初日の終値は342ドルで、価格上昇になれた暗号資産市場には突然、勢いが萎んだように思えた。

I was gonna buy $COIN at $250 earlier but ended up not doing it. Probably a good idea as it is likely going to drop to under $200 in the next few weeks.
— Sauce (@RichBankerDude) April 14, 2021