ビットコイン、弱気の“デスクロス”に近づく──インフレ抑制が売り圧力

ビットコイン(BTC)相場で、チャート上の50日移動平均線が200日平均線を上から下に突き抜けた時に見られる弱気指標を「デスクロス(death cross)」と呼ぶ。

この不吉な意味を持つチャートパターンが今週、ビットコイン相場に現れる可能性がある。米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)を加速させるとの見方は、ビットコイン相場の弱気圧力をより強めるかっこうとなっている。

ブルームバーグの報道によると、米投資銀行のゴールドマン・サックスは、FRBが2022年末までに金利を少なくとも4回引き上げると予測しているという。またFRBはバランスシートの縮小を7月から開始すると見ている。

(画像:ビットコインの価格チャートに現れるデスクロス/TradingViewより)

FRBの利上げ予想とビットコイン相場

7日に発表された米国雇用統計では、失業率が3.9%に低下したことが明らかとなり、FRBが3月までに利上げを行い、資産購入プログラムを終了させる可能性はより一層高まった。

CMEグループの「FedWatch Tool(金利先物市場のデータを基に市場の利上げ織り込み度を算出するデータ)」によると、投資家は、3月に25ベーシスポイント(0.25%)の利上げが起こる確率を73%としており、前週の61%から上昇した。

中央銀行が雇用の最大化からインフレ抑制に重点を移したことを受けて、2021年10~12月期末にはタカ派的なFRBへの懸念がビットコイン市場を支配した。12月、FRBは2022年末までに少なくとも3回の利上げと、3月までの資産購入プログラムの終了を発表。

ビットコインは11月10日に69,000ドル付近でピークを迎え、その後40%近く下落した。1月9日までの直近7日間では12%を超える値下がりを記録し、12月上旬以来の週間最大下落率となった。差し迫ったデスクロスは、全体的な弱気心理を後押しする可能性がある。

過去に出現したデスクロス

(画像:ビットコインの過去3カ月の価格推移/coindesk JAPAN)

しかし、テクニカル指標は弱気相場の予測因子として、過去の実績はまちまちだ。米暗号資産取引所のクラーケンの調査によると、2014年と2018年に見られたものを含む、ビットコインの過去のデスクロスの多くは、「その後の数日間の売り越し、または弱気相場を確認する継続的なマクロ下落トレンドのいずれか 」と一致しているという。

一方、2021年6月、2020年3月下旬、2019年10月に見られたデスクロスは、ベアトラップまたは偽のシグナルで、大きな価格の底をマークした。2021年6月中旬のデスクロス後に見られたコンソリデーションは、新たなブルラン(強気相場)で解決された。

移動平均のクロスオーバーは、後ろ向きのデータに基づいており、価格に遅れる傾向があることから、単独の指標としては信頼性に欠ける。昨年6月や2020年3月下旬のように、クロスオーバーが確認される頃には市場は「売られ過ぎ」や、「跳ね返される」ことが多い。

ビットコインは10日19時19分(日本時間)、42,902ドルで取引されており、上昇率は1.2%だった。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock.com
|原文:Bitcoin Approaches Death Cross as Goldman Foresees 4 Fed Rate Hikes This Year