数カ月前、FOMO(機会を逃すことへの恐怖:fear of missing out)に直面した投資家は、暗号資産(仮想通貨)という船に乗り遅れることを懸念した。
しかし今、船は港を出たかもしれないが、帆は風を失い、漂流している。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めを前に、熱狂は冷めているようだ。
そうした心理は市場活動の低下を示す複数のマーケットデータにも裏付けられており、価格も下落する可能性がある。具体的に見てみよう。
1. 資金調達率、マイナスに
分析会社CryptoQuantが複数の大手取引所のデータをまとめて算出したビットコインの資金調達率は、わずかにマイナスになっている。これは、レバレッジ取引のための資金需要が減少していることを意味する。トレーダーはポジション追加を急いでいないようだ。
2. ビットコイン先物の建玉、12月の最終週からわずかに減少
データサイトのスキュー(Skew)によると、ビットコイン先物の建玉(未決済の契約)は現在160億ドル、クリスマス時期の約190億ドルから減少している。
11月にビットコイン価格が史上最高値を迎えた時には、約260億ドルだった。
3. イーサリアム先物も建玉が減少
11月には130億ドルまで上昇したが、現在は80億ドル前後になっている。
4. ビットコインとイーサリアムのオプション建玉は、10月上旬の水準まで減少
現在、ビットコイン・オプションの建玉は70億ドル、イーサリアム・オプションの建玉は50億ドル。12月は、100億ドルと70億ドルだった。
5. ビットコインのインプライド・ボラティリティ、低下
ビットコインの将来のリスクに対する市場の予想を表すインプライド・ボラティリティは、2020年10月以来のレベルまで低下し、この数日、低下が加速している。1カ月インプライド・ボラティリティは現在60%、夏以降は80%台で推移していた。オプション需要が低下すると、インプライド・ボラティリティも低下する。
6. イーサリアムのインプライド・ボラティリティも低下
現在、イーサリアムの1カ月アット・ザ・マネー・インプライド・ボラティリティは69%、6月以降は100%付近で推移していた。定常的に70%を下回るのは、1年以上ぶり。
マイナスを示すデータはまだある。
もちろん、こうした状況は永遠に続くわけではない。だが今後数日から数週間のうちに価格が下落しても驚くに値しない。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ビットコイン・オプションの建玉(Skew)
|原文:Derivatives Data Shows Softening Crypto Enthusiasm