ビットコインの弱気相場、金融引き締めへの警戒感:モルガン・スタンレー

2021年に価格が膨れ上がった暗号資産(仮想通貨)市場で、弱気ムードが漂っている。米FRB(米連邦準備理事会)と他の西側諸国の中央銀行による金融引き締めへの警戒感が強まり、暗号資産の買いを控える動きが見られる。米投資銀行のモルガン・スタンレーが先週、リサーチノートをまとめた。

過去2年間、低金利と中央銀行によるバランスシートの増大、政府の景気刺激策は、暗号資産価格を「指数関数的に上昇させた要因」となった。FRBや他の中央銀行が引き締め準備を進める中、クリプト(暗号資産)市場の弱気ムードは継続している。モルガン・スタンレーで暗号資産リサーチを統括するシーナ・シャー(Sheena Shah)氏は、同リサーチノートで述べる。

ソーシャルメディアでは、個人投資家のこれまでの強気な見方は昨年末頃から、弱まり、価格の下落は足もとの弱気ムードを強めている(リサーチノート)。

モルガン・スタンレーによると、ビットコイン(BTC)の時価総額は2013年後半から、世界の法定通貨供給量(マネーサプライ)の増加ペースを追う動きを見せている。マネーサプライの年間増加率は2021年2月にピークを迎えた一方で、ビットコインの時価総額の成長率(年率ベース)は、その1カ月後の3月に最高を記録した。モルガン・スタンレーは、暗号資産価格の変化とマネーサプライとの密接な関係を指摘している。

(画像:ビットコインの過去3カ月の価格推移/coindesk JAPAN)

長期的には、支払い手段、価値の交換としての役割は、暗号資産の時価総額を左右する要因である。しかし、過去6カ月間で見られたビットコインと株式市場との相関性を考えると、暗号資産は同期間、リスク資産の一つとして取引されてきた(リサーチノート)。

ブロックチェーン分析の「IntoTheBlock」がまとめた先週のレポートによると、ビットコインと、現金通貨と預金通貨の合計(M1マネーサプライ)との相関性は0.77まで上昇し、統計的には非常に強い関係を示した。

|編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock.com
|原文:Morgan Stanley Says Crypto Markets Are Weakening as Central Banks Look to Tighten