2021年秋に米大リーグ(MLB)のNFTの販売をスタートさせたキャンディ・デジタル(Candy Digital)は1月15日、ついにマーケットをオープン。初の週末、取引は好調だった。
6月にMLBとの提携を発表した同社のNFTマーケットプレイスは、最初の8時間で取引高が100万ドル(約1億1000万円)を超え、週末の取引高は270万ドル(約3億1000万円)に達した。
この数字は、現在、毎日約200万ドルの取引高を記録しているダッパーラボ(Dapper Labs)の人気NFTトレーディングカード「NBA Top Shot」に匹敵すると同社担当者は語った。
またこの数字は、2021年のバブル的な高値からの下落をNFTマーケットが切り抜けていることを示している。例えば、NFTマーケットプレイス「OpenSea」は現状、年初からイーサリアム(ETH)が15%下落している一方で、1月は過去最高の取引高に迫っている。
取引手数料、トランザクションスピードの問題
キャンディ・デジタルのマーケットプレイスは、パーム(Palm)ブロックチェーン上に構築されている。同社はパームを選択した理由に、取引コストの低さをあげている。
同社初のNFT「ルー・ゲーリッグNFTコレクション」では、イーサリアムブロックチェーンが使われた。現在、OpenSeaで4.5イーサリアム(約1万4400ドル、約165万円)の価格がついているものの、同社はイーサリアムのガス代(取引手数料)ではビジネスモデルは維持できないと考えているようだ。
キャンディ・デジタルのスコット・ラウィン(Scott Lawin)CEOは「20ドル、50ドルの商品を販売する場合、イーサリアムのガス代やトランザクションスピードに対応することは難しい。パームのガス代はゼロに近い」と述べた。
現在、NFTビジネスでは、ソラナ(Solana)やフロー(Flow)などイーサリアム以外のブロックチェーンを基盤としたマーケットプレイスが、主に暗号資産に詳しくないユーザーをターゲットに活路を見出そうとしている。ちなみに、キャンディ・デジタルをはじめ多くのプラットフォームは、法定通貨のみを受け付けている。
商品プラン
ラウィンCEOは「8~10タイプのNFT商品」の準備を進めており、高価値の限定品から、二次市場で取引される可能性があまりない実用ベースの記念品まで、さまざまな種類の商品を提供する予定と語った。
「すべてに対応できる商品はないと考えている。だからこそ、多くのさまざまなタイプのコレクターにアピールできる商品のエコシステムを構築している」(ラウィンCEO)
投資家はこのコンセプトの可能性を認めているようだ。同社は昨年10月、1億ドル(約110億円)の資金調達を行い、評価額は15億ドル(約1700億円)に達した。資金調達にはソフトバンクも加わった。
キャンディ・デジタルは、米スポーツ小売のファナティクス(Fanatics)の子会社で、起業家のゲイリー・ヴェイナチャック(Gary Vaynerchuk)氏も出資している。
ファナティクスは1月初め、米トレーディングカード大手のトップス(Topps)を5億ドルで買収したと報じられた。トップスは、主力商品のMLBカードのNFT展開を試みていた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:MLB NFTs on Candy Digital Clock $2.7M in Marketplace Debut