マイカー以外のあらゆる交通手段による移動を、情報通信技術を使って統合するサービスのモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)。その可能性に対する期待が高まる中、日本マイクロソフトはそのMaaS利用者のリスク軽減をテーマにハッカソンを開催した。
同社は7月8日、JR東日本情報システム、みずほ情報総研、日本生命保険、あいおいニッセイ同和損害保険、MaaS Tech Japanと連携し、6月3日から5日間にわたってハッカソンを実施したと発表。クラウドプラットフォームの「Microsoft Azure」をベースに置くブロックチェーンを利用して、いくつかの新機能の実証を行なった。
日本マイクロソフトは、Azureを利用する顧客企業のシステム設計や開発などを「ハックフェスト」と呼ぶハッカソン形式で取り組んでおり、今回のイベントもその一環として行なった。参加企業の業種の幅を広げながら、新しい機能を追加して検証を進めた。
実際に実装された新機能は3種類(発表文から抜粋)
- 自己主権型アイデンティティとの連携: 多くの企業が参入することが予測される MaaS は、伝統的な中央集権型のアイデンティティ管理基盤の適用が難しい分野。今回はマイクロソフトがプレビュー版として提供している自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity)管理基盤である ION(アイオン)の早期検証環境を使用し、利用者がスマートフォンを使用して自らのアイデンティティを管理し、認証が行えることを検証した。
- 迅速な保険契約の締結と補償: 公共交通機関の遅延や運行停止は、利用者にとって旅程を変更せざるを得ないなど、リスクは大きい。今回のハックフェストでは、保険付きのチケットを発行する機能と共に、交通機関に大きな遅延が発生したことを検出し、利用者にシェアカーのチケットをERC721 トークン(イーサリウム上で採用されている代替不可能なトークンの規格)として自動的に発行する仕組みを実装した。
- MaaS チケットによるシェアカーのドアロック解除: 保険によって発行されたチケットによってシェアカーを予約し、その結果として得られたトークンによってドアのロックを解除する機能を実装した。
文:小西雄志、佐藤茂
編集:佐藤茂
写真:Sutterstock