暗号資産(仮想通貨)の価格が下落している。こうした時、多くの人は犯人を捜す。
我々は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の需要が枯渇していると指摘してきた。だが「何が起きているか?」には答えてきたが、「なぜ?」には答えていなかった。
ハイテク株との相関関係
暗号資産についての根強い、よく知られた神話の1つは、完全に合理的に思えるかもしれないが、データを分析すると成立しない。神話とは、暗号資産はハイテク株との相関関係が高いというものだ。
先週、ビットコイン下落と同時にハイテク大手の株が下落したことで、この説は支持を集めている。
一見、合理的に思えることには多くの理由がある。つまり、ビットコインに限らず暗号資産を購入することは、そのテクノロジーが多くのユーザーの支持を得ることに賭けることだ。ビットコイン保有者は4000万弱、世界の人口はその約200倍なので、保有者はさらに増えていくだろうと考えられている。
つまり、新しいテクノロジーにまつわるストーリーは、ビットコインの誕生ストーリーに欠かせないインフレヘッジのストーリーを大きく超えると予想されている。だが、本当にそうだろうか?
データを見ると……そうとは言えない。
ハイテク銘柄の動向を表すとされるナスダック100指数には、ハイテク大手がひしめいている。アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、テスラ、アルファベットは12月31日時点、ナスダック100指数の時価総額の43%を占めている。
価格に影響を与える要因
ビットコインは暗号資産全体を表すものではないが、ビットコインとナスダックの相関係数は0.22。プラスだが、相関係数としては小さい。
だが、ビットコインはインフレヘッジとなるというストーリーは、さらに弱い。ビットコインとドル指数の相関係数はマイナス0.13。米国債の目安となるiシェアーズ20年超ETFに対しては、わずかマイナス0.02。つまり、相関関係はまったく見られない。
暗号資産市場の現状を説明できる要因はほかにありそうだ。例えば、過去1年の大きな価格変動がすべて中国の規制動向に関連していることを考えると、こうした出来事とビットコインの関連を無視することはできない。
少なくとも当面、ビットコイン価格は、グローバルなリスク指向と中国におけるさまざまな市場メカニズム(および中国での規制の余波)の組み合わせと言えるだろう。こうした要因の影響は静的なものではない。だが米連邦準備理事会(FRB)の動向よりも多くを説明できる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:No, Tech Stocks Aren’t Driving Crypto Prices