東レが、ブロックチェーンを活用したインフラ技術を開発するソラミツと共同で、サプライチェーンのトレーサビリティシステムを構築するための実証実験を始める。
東レは1月24日、リサイクルやバイオマス(動植物などから生まれた生物資源)が循環する社会を作るための技術と製品のサプライチェーンに、ソラミツのブロックチェーン技術を組み合わせ、製品の回収や再利用による素材の循環を可視化する取り組みを進めると発表。そのための実証実験を2022年度中に始める。
東レは2019年に、回収したペットボトルを原料に再利用したリサイクルポリエステル繊維事業を立ち上げている。今回の実証実験では、この事業をベースにサプライチェーン上の企業と連携しながらトレーサビリティシステムを構築するための課題を特定する。
また、消費者がリサイクル活動に参加しやすい環境を整備するため、回収された原材料が製品となり、消費者に届くまでのサプライチェーン情報を可視化するための方法を検証する。リサイクル工程で利用されるエネルギー量や、消費者が東レ製品を使用することで削減できる環境負荷の情報を可視化するための検証も行う。
実証実験を経た後、東レは樹脂やフィルムなどの全ての高分子化合物(ポリマー)を対象にトレーサビリティシステムの利用を進める計画で、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンを確立させる。実現すれば、製造から最終製品の流通、回収、再利用までの完全なトレーサビリティシステムが動き出す。
ソラミツは、企業や大学、政府などにブロックチェーンをベースにしたソリューションを提供するフィンテック企業で、これまでにカンボジア国立銀行と共同で、同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムの開発を行った。
|編集:佐藤茂
|トップ画像:Shutterstock.com