ポーカーがメタバースで人気──デイリーユーザーの30%以上がカジノへ

メタバース(仮想空間)はしばしば「やることがない」と批判されるが、ディセントラランド(Decentraland)のバーチャルカジノ「ICE Poker」は大盛況だ。

ディセントラル・ゲームズ(Decentral Games)が提供するプレー・ツー・アーン(プレーして稼ぐ)のバーチャルポーカーは、毎日約6000人のユニークユーザーがプレーしている。これはディセントラランドの1日のユーザーの30%を超える。

ディセントラル・ゲームズの創業者、マイルズ・アンソニー(Miles Anthony)は、ICE Pokerは過去3カ月で750万ドル(約8億6000万円)を超える収益をあげたと述べた。

「常時、1000人以上がポーカーをプレーしている。1000人は多いとは思えないだろう。だがオープン・メタバースについて言えば、相当な数字。メタバースの現状の大きな問題は人がいないことだ」(アンソニー氏)

「ウェブ3.0」は大きな注目を集めているが、ユーザー数はまだ少ないことを忘れてはならない。DappRadarによると、人気NFTマーケットプレイス「オープンシー(OpenSea)」にアクセスしているウォレットは1日あたり5万に過ぎない。オープンシーは先月、3億ドルを調達し、評価額は133億ドル(約1兆5000億円)に達した。

以前から人気のオンラインギャンブル

ディセントラル・ゲームズは1年半前にディセントラランドの仮想土地を取得して、メタバースに進出した。これまでに1000以上のバチャ−チャル区画を買い集めてきたという。ディセントラランド自体も2021年9月にディセントラル・ゲームズに投資して、そうした取り組みを支えた。

ICE Pokerの成功は、すでに数十年も根強い人気を誇るオンラインギャンブルに詳しい人なら驚くことではないだろう。

ICE Pokerはオンラインギャンブルのウェブ3.0版であり、ユーザーはプレーする前にNFTウェアラブル(洋服類)を購入する必要があるとアンソニー氏は述べた。ICE Pokerは、2つのトークン「ICE」「DG」を発行し、そうしたエコシステムを支えている。

ポーカーテーブルの様子(CoinDesk)

限定販売されたNFTウェアラブルは、すでにオープンシーなどの二次(流通)市場で高値となり、当記事執筆時点で2.46イーサリアム(約6500ドル、約75万円)の値がついている。

ギルドの功罪

豊富な資金を持つギルドは、ICE Pokerのエコシステムの中核的存在になっているとアンソニー氏は述べた。だが同氏は、YGGのような大規模ギルドに依存することを意図的に避け、多くのユーザーがアクセスできるようにしているという。ゲームギルドは多くの場合、個人ユーザーに暗号資産を貸し出し、ユーザーが得た利益から分け前を得る。

「100%正直に言うと、大規模なギルドはゲーム・エコノミーにとって有害だと考えている。ギルドの評価額はかなりすごいことになっている。短期的には素晴らしいことだろうが、多くは長期的な影響を見落としていると思う」(アンソニー氏)

ICE Pokerはこの問題を避けるために、委任システムを備えており、プレーヤーは(参加に必要な)NFTウェアラブルを収益を6:4で分けることを前提に、他のユーザーに貸し出すことができる。NFTを1点だけ貸し出しているユーザーが現状、貸し手の大半を占めている。

ここ数カ月、メタバースの未来については大きな盛り上がりを見せたが、規制の影響もあって、この分野への参入を成功させたポーカー・プラットフォームはほとんど存在しない。

ディセントラル・ゲームズは今後数カ月でモバイル版をスタートさせる準備を進めているとアンソニー氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ディセントラル・ゲームズのカジノ(CoinDesk)
|原文:Who’s Using the Metaverse? Poker Players in Decentraland