私たちは、現金とクレジットカードに触れることなく、ビットコイン(BTC)だけでエルサルバドルを旅しようとイタリアを飛び立った。その時には、そんなことが本当に可能かどうかは分からなかった。無惨にも失敗する、それも数日で行き詰まる覚悟はできていた。
45日間におよぶ私たちの挑戦は飛ぶように過ぎ去り、最も観光地向けなエリアから、最も人里離れたエリアまで、国中を旅した。ラテンアメリカの小国であるエルサルバドルで、ビットコインが当たり前の状態を心から享受することができた。
旅の中で、何が起こっているのかを自分の目で確かめるためにエルサルバドルにやってきた多くの人に出会った。そして、メインストリームの雑誌や、私たちのブログでこの冒険について読んだ人も含めて、多くの人が同じことをしようと考えているのも知っている。
ブケレ大統領のビットコイン法は世界に知れ渡っているし、エルサルバドルは歴史や文化が豊かで、美しい風景やビーチも楽しめる素晴らしい国だ。時価総額トップの元祖暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは今や、エルサルバドルの法定通貨となっている。
観光客がビットコインだけで過ごすのは容易ではない。しかし、いくつかのコツを知っていれば可能だし、最大限に楽しむことができる。
BTCでレンタカー
エルサルバドルは小さな国であり、それは利点でもある。数時間ドライブするだけで、サーファー天国のビットコイン・ビーチから、緑豊かな森に囲まれたスチトトの湖に辿り着くことができる。
あるいは、首都サンサルバドルの魅力的な喧騒を楽しんだ同じ日に、火山とコーヒープランテーションで有名な、美しいサンタ・アナを訪れることもできる。
ただ、問題がある。エルサルバドルの公共交通機関はまばらで、あまり整備されておらず、非常に遅い。(とても可愛らしいのだが)理想的な移動手段ではない。
レンタカーがベストだ。バジェットやエイビスなどの国際的に展開する大手レンタカー業者が、BTC革命に対応できていなくても、小規模の民間レンタカー業者がたくさん存在している。
グーグル検索すれば見つかるし、至るところで利用できる。その多くは、ビットコインを喜んで受け付けてくれるし、非常に魅力的な値段をオファーしてくれる。車を使えば、最大限の自由が手に入り、エルサルバドルの旅は思いのままだ。
前もって計画する
エルサルバドルならどこでもビットコインが使えるなんて、決して思わないで欲しい。ビットコイン法はまだ新しいもので、事業所はビットコインに対応するかどうか自由に選ぶことができる。
この変化に適応することを最もためらっているように見えるのはホテルだ。特に観光地ではないエリアではその傾向が顕著だ。そのため、事前に電話して確認しておくことが大切だ。インターネットを使って、お目当てのエリアから興味のあるホテルを選び、電話してビットコインが使えるか確かめよう。スペイン語の練習にもぴったりだ。
ププサを試してみよう
同じことがレストランにも言える。ビットコインと交換に、どこでも食事にありつけるとは思わないこと。事前の確認が大切だ。怖がる必要はない。どこでも丁寧に対応してもらえるし、地元の人との交流のチャンスにもなる。
興味深いことに、人気が高く値段は安いレストランが、イノベーションに対して最もオープンな姿勢であることが多い。ひどく粗末なバーのオーナーでさえも、公式ビットコイン用ウォレット「チボ」の入ったスマートフォンを持っている可能性が高く、客を失うよりはと、ビットコインでの支払いを喜んで受け入れてくれるだろう。
エルサルバドルの名物料理はププサ。具の入ったトルティーヤを鉄板で焼いた美味しくて安い一品だ。エルサルバドルに来たら、この料理は外せない。
注意:人里離れた地域に行ったら、ビットコインしか持っていない初めての客となる可能性が高い。どのように支払いを行うか、教えられるようにしておこう。お店の人は分からないことが多い。これも楽しみの1つだし、革命の先駆けとなっていることを忘れないようにしよう!
地元の人に積極的に話しかけよう
ビットコインだけを使ってエルサルバドルを旅する最大の魅力は、否が応でも地元の人に話しかけなければいけなくなる点だ。恥ずかしがらずに声をかけよう!
BTCはエルサルバドルの法定通貨だが、ビットコイン専門家は自分だということを、胸に刻もう。旅で会う地元の人たちに、ビットコインについて教えてあげよう。彼らはこれまでのところ、ほとんどビットコインについて教育を受けていない。ビットコインについてよく知っている人と話すことは、彼らにとっても大切なのだ。
私たちも、ビットコインによって何が可能になるのか、金融における完全なる自立がどんなメリットをもたらしてくれるのかを地元の人たちに教えてあげて、大いに感謝された。
現地のペースに合わせる
特に観光地ではないエリアでは、エルサルバドルの生活リズムは、ヨーロッパやアメリカとはまったく異なる。人々は朝早く起き、夜もすごく早く床に就く。夜遊びには期待せず、すごく早く夜ご飯を食べること、午後8時には通りにほとんど人気がなくなることを覚悟しよう。
夜に歩き回ることは危険ではないが、夜遊びが可能なのは、より裕福なエリアか、観光地だけだ。現地の生活リズムに合わせて、エルサルバドルの真の姿を垣間見て、地元の人たちと触れ合ってみよう。朝日と夕日は、どこに行ってもとにかく最高だ。見逃す手はない!
現在、エルサルバドルを旅するのが安全なのかと、多くの人が疑問に思っているだろう。私たちの経験から言えば、とても安全だ。しかし訪れる場合には、しかるべき注意をして、異文化と接する際には常に持つべき尊敬を、態度で示すように。私たちは危険を感じたことも、気まずい経験をしたこともない。
むしろ、あまりに居心地が良かったので、滞在を伸ばすことにした。2カ月半以上が経過した今でも、いまだにエルサルバドルにいるくらいだ。
ビットコインを使ってエルサルバドルに遊びに来て、歴史的瞬間の一員になるのも悪くない。
ローラ・ノリ(Laura Nori)は、ユーザー中心型ソーシャルネットワーク構築のためのブロックチェーン「Desmos Network」のコミュニティマネージャー。リカルド・ジョルジオ・フレガ(Ricardo Giorgio Frega)は、ポッドキャスト「Bitcoin Italia Podcast」のホストである。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:5 Tips for Traveling in El Salvador Spending Only Bitcoin