ロシアとウクライナの対立が株式や暗号資産(仮想通貨)に重くのしかかっており、市場は行方を見守っている。
米国務省は14日、「ロシア軍の増強が劇的に加速」しているため、ウクライナの首都キエフにある米大使館を閉鎖し、ロシアとの国境から離れたリビウに一時的に移転させると発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、2日後の16日が「攻撃の日」になる可能性があると述べた。
「この恐怖は、戦争の不確実性のみならず、バイデン大統領が、ロシアが侵攻を決定した際は、天然ガスのパイプライン『Nord Stream 2』を閉鎖する発言したことによるもの」と英GlobalBlockのアナリスト、マーカス・ソチリオウ(Marcus Sotiriou)氏はコメントした。
Nord Stream 2は、ヨーロッパの天然ガス供給の大部分を担っているため、閉鎖されれば原油価格の上昇を招き、インフレが加速する可能性があるという。各国の中央銀行は物価上昇を抑制するために金融引き締めを進めており、暗号資産などのリスク資産には逆風となっている。
ビットコイン(BTC)は14日、4万1000ドルから4万2000ドルの狭いレンジで推移、原油、ゴールド、米ドルは過去24時間に上昇した。
最新価格
●ビットコイン:42,228ドル、-0.61%
●イーサリアム:2,900ドル、-0.32%
●S&P500:4,402、-0.38%
●ゴールド:1,873ドル、+1.76%
●米国10年債利回り:2.00%
下落に備える先物トレーダー
ビットコイン先物の推移は、将来のインプライド・ボラティリティ(IV)に対する市場の期待を反映しており、3月まで横ばいになっている。これは、暗号資産デリバティブのトレーダーの間の不確実性を反映しているだろう。
2022年末まで、ビットコイン先物はきわめて控えめな年率6%のプレミアムとなっており、「すぐに強気の動きが起こることを市場はほとんど期待していない」とGlassnode(グラスノード)は14日、ブログに記した。さらに「市場は、マクロの不確実性の大きさに対応して、リスクを減らし、レバレッジを抑えているようだ」と述べている。
下図を見ると、プット・コール・レシオ──プット・オプション(売る権利)の建玉をコール・オプション(買う権利)の建玉で割った指標──は最近、増加傾向にあり、ビットコイントレーダーの間で下落に備えた動きが強くなっていることを示している。
暗号資産ファンド、4週連続の流入超
暗号資産運用会社CoinShares(コインシェアーズ)が14日発表したレポートによると、暗号資産(仮想通貨)ファンドは2月11日までの7日間、7500万ドル(約87億円)、4週連続の流入超となった。
イーサリアム(ETH)ファンドは10週間ぶりに2100万ドルの流入超となった。一方、ビットコインファンドは先週、2500万ドルの流入超となったが、その前週の7100万ドルと比べると、ペースは鈍化している。
2021年第4四半期の流入額と比較すると、金額はまだ低いまま。また資金の動きには地域差が見られ、アメリカでは550万ドルの流出超、ヨーロッパは8070万ドルの流入超があったという。
アルトコイン
●アニモカブランズとブリンク、プレー・ツー・アーンのエコシステムに向け、3000万ドルのギルドプログラム:NFTとメタバースに積極的に投資しているAnimoca Brands(アニモカブランズ)は、グローバル・ベンチャーアクセラレーターのBrincと提携し、ギルド・アクセラレータープログラムを開始、1つのギルドに最大50万ドルの資金を提供する。持続可能性に焦点をあてたプロジェクトと、プレーヤーとプレーヤーをサポートするコミュニティを支援ことが目的。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Market Wrap: Bitcoin Rangebound as Traders Hedge Risks
※編集部より:本文を一部修正して、更新しました。