ソーシャルメディア大手フェイスブック(Facebook)は、現状の規制では、インドでデジタルウォレットサービスと仮想通貨をローンチすることはないと述べている。 インドの日刊紙、エコノミック・タイムズ(The Economic Times)が2019年7月10日に報じた。
フェイスブックの広報担当者は、エコノミック・タイムズの取材に対して、次の通りに述べた。
「デジタルウォレットのカリブラ(Calibra)をインドで提供する計画はありません。ご存知かもしれませんが、現時点ではカリブラのローンチを不可能にするような規制がインド国内に存在しています」
この広報担当者はおそらく、インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)による命令について述べている。RBIは2018年4月、銀行が取引所などの仮想通貨関連企業に対してサービスを提供することを実質的に禁止した。それ以来、インドを拠点とする大手取引所のいくつかが、閉鎖しており、RBIによる規制を業績悪化の原因として挙げている。
現在、RBIの命令に関しては最高裁判所で控訴審が行われているが、政府からの指示待ちで膠着状態にあるようだ。
政府機関も、仮想通貨の使用を完全に禁止する可能性のある仮想通貨関連法案に取り組んでいると言われており、違反したものに実刑判決さえ出すと報じられている。以前の報道では、仮想通貨が厳しい規制の下ではあるものの、最終的には法的に認められる可能性が示唆されていた。
エコノミック・タイムズによると、インドはフェイスブックにとって最大の市場であり、フェイスブック傘下のメッセージアプリ、ワッツアップ(WhatsApp)が提供する決済サービスは、すでに100万人に試験的に提供されている。
しかし、仮想通貨を巡るインドの厳しい展開により、フェイスブックの仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」は、今のところインド市場を外側から覗くにとどまることとなるだろう。
「カリブラは法を尊重します」と、ロンドン在住のフェイスブック担当者、アレクサンドル・ヴォイカ(Alexandru Voica)氏はエコノミック・タイムズの取材に対して語った。フェイスブックは、法改訂が可能かを探るために、インドの政治家と協働するつもりだと同氏は付け加えている。
リブラプロジェクトはまだその初期段階にあるが、同プロジェクトの運営を担うリブラ協会(Libra Association)は、世界中の「パートナー」候補と交渉中であるとヴォイカ氏は語り、カリブラにはインドにおいて他の用途がある可能性を示唆した。
ヴォイカ氏は以下のように述べた。
「リブラにはスマートコントラクト、サプライチェーンマネジメントなどに向けた複数の用途があります。仮想通貨だけに限ったものではありません」
翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Facebook image via Shutterstock
原文:Facebook Says It Won’t Launch Crypto in India Due to Regulatory Issues