暗号資産(仮想通貨)投資が1兆9000億ドル(約220兆円)のグローバルマーケットに急成長していることで、アメリカでは暗号資産の確定申告サポートがビッグビジネスになっている。
暗号資産の利益と税金の計算をサポートする複数のスタートアップ企業は、数億ドルを調達し、評価額は10億ドル規模に達している。従来の税務申告サービス各社も、成長著しいニッチ市場に対応したサービスを展開している。
こうした動きは、時期尚早とは言えないだろう。複数の暗号資産は昨年、史上最高値を記録し、暗号資産で利益をあげる新しい方法が次々と登場している。その一方で米内国歳入庁(IRS)は暗号資産にまつわる税金の不正の摘発に力を入れている。
とはいえ市場はまだニッチで、その規模は正確には分からない。「敢えて言うなら、アメリカの暗号資産の税金対策市場は現在、4億ドル(約460億円)相当の規模と考えられ、規制当局の目が厳しくなるなか、年々、指数関数的に拡大している」とCryptoTrader.Taxの共同創業者兼CEO、デビッド・ケメラー(David Kemmerer)氏は語った。
暗号資産に目を向ける内国歳入庁
米内国歳入庁は2019年夏、暗号資産に注目し、税金を適切に申告していないと疑われる納税者に数千通の通知を送った。
「この数年、消費者は(暗号資産関連の)税金を支払わなければならないと認識し始めたが、あまりにも面倒なので放置していた」とTaxBitのマーケティング担当バイスプレジデント、ミシェル・オコナー(Michelle O’Connor)は述べた。だがその後、「IRSからの恐ろしい通知」を受け取るようになった。
2019年10月、IRSは暗号資産関連の収入の申告に関する詳細なガイダンスを発表。さらに納税申請書に暗号資産取引に関するチェック項目を盛り込んだ。
今後、DeFi(分散型金融)やNFT(ノンファンジブル・トークン)の普及など、テクノロジーはますます複雑になり、税理士の手に負えないような状況が広がって、申告のサポートを必要とする人は増えていくだろう。
暗号資産の申告作業は面倒だが、消費者にとって最も安全な方法は、多くの場合は専門家のサポートを求めるか、専用ソフトウェアを使用することだろう。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Crypto Tax Prep Business Booms as Trading Surges and IRS Tightens Screws