VISA、a16zら、仮想通貨カストディアン、アンカレッジの資金調達ラウンドに参加

機関投資家に仮想通貨カストディサービスを提供するアンカレッジ(Anchorage)は、資金調達のシリーズBラウンドで4000万ドル(約43億円)を調達した。

資金調達ラウンドは ベンチャーキャピタル(VC)のブロックチェーン・キャピタル(Blockchain Capital)によって主導され、クレジットカード大手ビザ(Visa)だけでなく、VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)などの既存の投資家たちも参加したと、アンカレッジは2019年7月10日(現地時間)発表した。アンカレッジはこれで、2017年以来、総額5700万ドルの資金を調達したことになる。

アンカレッジの共同創業者兼社長のディオゴ・モニカ(Diogo Monica)氏は次のように述べた。

「アンカレッジのミッションは機関のデジタル資産クラスへの参加を促すことにあり、今回調達した資金はまさにそのミッションの遂行能力を高めてくれるでしょう。ビザやブロックチェーン・キャピタルといった先駆的な企業から支援を受けられたことは、アンカレッジがデジタル資産という新興経済に向けたビジョンの正当性を裏付けてくれます」

今回の調達資金はサービスの構築に用いられる予定。アンカレッジは「すべてのデジタル資産」に対してサポートを提供するだけでなく、自社のサービスを他の金融サービス企業に統合し、監査やコンプライアンスを強化しようと計画している。

ビザが仮想通貨カストディ企業に直接資本参加するのは、今回が初めてとなる。

ビザのシニアバイスプレジデントでフィンテック責任者のテリー・アンジェロス(Terry Angelos)氏は「アンカレッジはさまざまな新しい金融サービスを支えるための土台を築いています」と語り、次のように続けた。「私たちは新しい決済フローの探求を続けながら、成長のさなかにあるデジタル資産のエコシステムに、安全なインフラを提供するために取り組んでいる、アンカレッジのような企業を支援する機会を追求しています」

アンカレッジは次世代の暗号資産のためにデザイン、構築されてきた。同社のカストディ・ソリューションは、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」の運営、開発目的で設立されたリブラ協会(Libra Association)にも含まれている。

モニカ氏によれば、従来のコールドストレージは将来的に仮想通貨を扱う企業の要件に合わなくなる。ユーザーは、例えばメーカーダオ(MakerDAO)やテゾス(Tezos)といった様々なプロトコルにおける、投票やガバナンス決定に参加できるようになることを望んでいる、と同氏は語った。

「ユーザーはプロトコルの成功に貢献したいと考えています。鍵がバックヤードに埋まっていては、それは叶いません」と、モニカ氏は今年、CoinDeskとのインタビューで述べている。

ブロックチェーン・キャピタルの共同創業者でマネージングパートナーのバート・スティーブンス(Bart Stephens)氏は、同社が資金調達ラウンドに参加した理由について、以下のように語った。

「私たちは、アンカレッジが、デジタル資産を保管するのに最も安全な場所だと考えています。同社は高度なセキュリティエンジニアリングによって、物理的なコールドストレージを超えた、近代的な仮想通貨カストディを実現しています。この投資を主導したのは、アンカレッジが金融の世界を変容させるような影響力を持つと信じているからです」

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Visa image via Shutterstock
原文:Visa, Blockchain Capital, a16z Back $40 Million Series B Round for Crypto Custodian Anchorage