ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)は28日に上昇したが、一部のアナリストは地政学的リスクに対して、まだ慎重な姿勢を見せている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ウクライナとロシアの停戦に向けた協議はまだ数日続く可能性はあるものの、一部の関係者はこれまでのところ、停戦の合意には至っていないと述べている。
一方、アメリカと複数のヨーロッパ諸国は、ロシアに対して一層の制裁措置を課している。例えば28日、米財務省はロシアの中央銀行との取引を禁止し、ロシアの主要政府系ファンドを制裁対象に加えた。
暗号資産市場では、調査会社カイコ(Kaiko)のデータによると、ロシアの通貨ルーブルとビットコインの取引高が9カ月ぶりの高水準まで増加した。だが、ルーブル建てビットコイン取引高の増加は、ウクライナ政府関係者の反発を招いた。
ウクライナの副首相兼デジタルトランスフォーメーション大臣、ミハイル・フェドロフ(Mykhailo Fedorov)氏は27日、「すべての主要暗号資産取引所に対して、ロシア人ユーザーのアドレスをブロックするよう求めている」とツイッターに投稿した。「ロシアやベラルーシの政治家に関連したアドレスだけでなく、一般ユーザーもブロックすることが重要だ」。
ビットコインの主要取引所での取引高は2月24日の下落後に減少しており、売り圧力は弱まっている。
最新価格
●ビットコイン:41,734ドル、+10.29%
●イーサリアム:2,827ドル、+8.08%
●S&P500:4,374、-0.24%
●ゴールド:1,911ドル、+1.29%
●米国10年債利回り:1.84%
安値を探る動き
ビットコインは底を打ったのだろうか? まだ、そうは言い切れない。
ビットコインは2021年11月に6万9000ドル付近の史上最高値を記録して以来、下落トレンドにある。つまり、世界的な金融引き締め、規制の不確実性、中国の暗号資産需要の低下など、他の要因も価格の重しとなっている。
だがビットコインの周期的な下落傾向は、暗号資産の長期的な上昇傾向を考慮すると最終的には収束する。
暗号資産分析会社スイスブロック・テクノロジーズ(Swissblock Technologies)によると、S&P500は地政学的な要因による下落からの回復に平均で約47日かかる。他のリサーチでは、地政学的な要因による下落から、3~6カ月で株式は上昇に転じている。ビットコインはS&P500との相関関係が高くなっていることから、同様の回復パターンをたどる可能性がある。
ビットコインの実現価値に対する市場価値を示す「MVRV」(下図)は、簡単に言えば、ビットコインの「公正な価値」からの乖離を推定するものだ。
MVRVは11月の史上最高値付近で過大評価領域に入ったが、2018年のピーク時と比較すると、さほど極端なものではなかった。これは現在の下落サイクルが、前回のピーク時からの底値までの約80%の下落ほど深刻ではないことを示している。
それでも地政学的な緊張はきわめて不透明であり、MVRVは歌唱評価領域には達していない。つまり、短期的にはさらなる価格変動となるかもしれない。
アルトコイン
●アルトコインファンド、小規模な流出超:ソラナファンドが260万ドル、ライトコインファンドが50万ドルの流出超となるなど、ほとんどのアルトコインファンドは流出量となった。一方、テゾス(XTZ)ファンドは440万ドルの流入超となった。
●AMCシアターズ、ドージコインと柴犬コインを受け付け:映画館チェーンのAMCシアターズは、暗号資産決済プロバイダーのBitPayを通して、ドージコイン(DOGE)と柴犬コイン(SHIB)による支払いを受け付ける。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin Rises Despite Geopolitical Tensions