丸井グループが、ブロックチェーンを基盤とするデジタル証券(セキュリティトークン)を発行する。野村證券がフィナンシャルアドバイザーを務め、米Securitize(セキュリタイズ)が開発したプラットフォームを採用する。
丸井、野村、セキュリタイズが8日に発表した。1年債を予定している。年利は1%程度で、その一部は丸井グループ傘下のエポスカードが運営しているポイントサービス「エポスポイント」で支払われる。販売対象は、エポスポイントを利用する個人投資家となる。
初回は、五常・アンド・カンパニーとクラウドクレジットへの投融資のために発行する。合計で14億円程度の調達を目指し、うち1億円程度をデジタル証券として発行する。
デジタル証券は4月以降に、エポスカード会員向けのウェブサイトで案内する。購入にあたって、野村證券の口座開設は不要。投資家は、1万円から購入できる。
デジタル証券のメリット
丸井グループは、社会的インパクト投資への参画機会を広く提供する手段を模索していたという。ただ、既存の個人向け公募社債では、社債の発行会社が投資家を把握することが難しかった。
また、発行会社が直接投資家へ利払いできないことや、金銭による利払い以外の方法で利払いすることは制度上困難な点、社債の金額を小口化すると管理コストがかさむことなどが障壁となっていた。
こうした課題を解決するため、今回の協業にいたった。野村證券とSecuritizeは、発行会社のニーズに対応する以下の特徴を備えた仕組みを構築。社債を裏付け資産として、セキュリティ・トークンを発行する。
ブロックチェーン技術によって、発行会社による投資家の把握が可能になるという。また、非金銭による利払いが可能になる。発行会社が保有するシステムと接続し、特定の投資家層へ社債の販売できることも特徴だ。
丸井グループは「社会貢献とお客さまの資産形成を両立する」としている。野村證券は「マーケティングを主たる目的とした社債発行」の可能性に期待し、提携先を広げていきたい考え。
|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
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