【US市場】ビットコイン、上昇──穏健的な大統領令に安堵感

ビットコイン（BTC）は9日、バイデン大統領が暗号資産（仮想通貨）に関する初の大統領令に署名したことを受けて、上昇した。大統領令は暗号資産業界に新たな規制を課すものではなかった。

大統領令は連邦政府機関に対して、暗号資産分野における取り組みや業務について、十分なコミュニケーションを取るよう指示した。だが各機関に求める具体的なポジションには触れていない。とはいえ、大統領令は将来の追加的な規制につながる可能性がある。

英GlobalBlockのアナリスト、マーカス・ソチリオウ（Marcus Sotiriou）氏は「大統領令は比較的穏健的に思えるので、市場にある程度の透明性を与えた。多くの投資家は大統領令の下落リスクに備えて様子見となっていたが、ビットコインの買い戻しでスポット主導の上昇が起きているようだ」と述べた。

オアンダ（Oanda）のアナリスト、エドワード・モヤ（Edward Moya）氏は「1年前、ビットコイン保有者は規制を恐れていた。現在、アメリカ政府はイノベーションとチャンスに価値と長期的展望を見出している。規制は暗号資産にとってプラスと見なされている。暗号資産業界の大部分はクリーンアップされる必要があり、規制の明確さが導入されれば、それは実現する」と語る。

ビットコインは、大統領令の後、過去24時間で10％も上昇し、4万ドルを超えた。日本時間10日9時時点では4万2000ドル付近となっている。イーサリアム（ETH）は同期間で約5％上昇。株式も9日は上昇し、ゴールドや米ドルといった伝統的安全資産は下落した。

ボラティリティ上昇

ビットコインオプション市場のインプライド・ボラティリティは、過去数日間の極端な低水準から上昇し始めている。3月15日、16日の米連邦公開市場委員会（FOMC）を前に、ビットコイン価格の大きく変動を示している可能性がある。

シンガポールのQCPキャピタルは、ビットコインとイーサリアムの短期ボラティリティ市場で動きが活発化していると述べた。「我々はロング・ボラティリティポジションで利益をあげることができた」とQCPはテレグラムで発表。ロング・ボラティリティは通常、リアライズド・ボラティリティの予想以上の上昇から利益を得るためにオプションを購入する取引戦略をいう。

ビットコインオプショントレーダーの間では、過去1か月のプット・コール・レシオの低下からもわかるように、弱気意見は少なくなっている。しかし、レシオはここ数日、わずかに上昇し、トレーダーの間に若干の警戒感があることを示している。

他の指標では広く弱気センチメントが見られ、直近の価格の上昇にもかかわらず、トレーダーはまだ懐疑的なことを示している。例えば、「オプションのバイヤーは、予想される価格下落リスクをヘッジするために高いプレミアムを支払うことを厭わない」と暗号資産デリバティブ取引所デリビット（Deribit）はブログに記した。

しかし、戦争など市場にストレスがかかる時期には、センチメントが乱高下することがある。

「局地的な戦争とその後の一連の出来事によって、市場には、かなりの「短い波」が表れている。満期日に近いオプションのボラティリティは急激に上昇し、満期日から遠いオプションのボラティリティは比較的安定している」（デリビット）

アルトコイン

●テラ（LUNA）が25％上昇、史上最高値の104ドルに：テラ（LUNA）は9日午前中に104.58ドルまで上昇し、12月に記録したこれまでの史上最高値103.34ドルを超えた。CoinMarketCapのデータによると、テラは過去24時間で25％上昇。当記事執筆時点には、99ドル付近となっている。テラは1月下旬に44ドル付近まで下落して以来、現在2倍以上の価格上昇となった。時価総額は約380億ドルとなり、6番目に大きな暗号資産となっている。

●ゴールドが史上最高値に近づくなか、ゴールド連動型暗号資産は時価総額10億ドルを突破：スタグフレーションの恐怖が世界経済を覆うなか、伝統的なインフレヘッジであるゴールドに連動した暗号資産は着実に成長している。アーケーン・リサーチ（Arcane Research）のデータによると、ゴールド連動型暗号資産のPAX gold（PAXG）とtether gold（XAUT）の時価総額合計は今週初めに10億ドルを超え、年初から約60％増加した。

｜翻訳：coindesk JAPAN
｜編集：増田隆幸
｜画像：ビットコインの1週間の価格推移（CoinDesk）
｜原文：Market Wrap: Cryptos Rise After Biden’s Executive Order; Sentiment Still Mixed

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