暗号資産(仮想通貨)市場は16日、米連邦準備理事会(FRB)が2018年以来となる金利引き上げを発表した後、大きく変動したものの上昇した。FRBはインフレ予測を強め、2022年中にあと6回、金利引き上げを行うと見られている。
ビットコイン(BTC)はFRBの利上げ発表直後は下落したが、日本時間9時30分時点、4万1000ドル付近まで上昇。パウエルFRB議長がアメリカ経済の見通しに楽観的な姿勢を示したことを受けて株式市場が上昇。株式市場との相関関係が高くなっているビットコインも同様に上昇したようだ。
FRBはまた、バランスシートを「今後の(FOMC:米連邦公開市場委員会)会合で」縮小すると発表。だが次の5月の会合か否かは明らかにしていない。アナリストは、金融引き締めの結果、長期的にリターンが低下すると予想している。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、暗号資産を合法化し、法的位置づけ、分類、所有権、規制当局を決定した。ウクライナは過去3週間で少なくとも1億ドルの暗号資産を寄付として受け取っている。
暗号資産市場では、多くのアルトコインも上昇し、トレーダーのリスク意欲の高まりを示した。チェーンリンク(LINK)は過去24時間で5%上昇し、ザ・サンドボックス(SAND)は10%上昇した。
最新価格
●ビットコイン:40,771ドル、+2.41%
●イーサリアム:2,741ドル、+2.93%
●S&P500:4,358、+2.24%
●ゴールド:1,927ドル、-0.07%
●米国10年債利回り:2.19%
ビットコインのインプライド・ボラティリティとリアライズド・ボラティリティは上昇し、ビットコイントレーダーが過去1週間のボラティリティの上昇に対してポジションをとっていることを示している。
シンガポールのQCP Capitalによると、最近、6月〜12月にかけての長い満期のビットコインオプションに大きな需要があり、同時にイーサリアムのプットオプションの動きが活発化しているという。
スキュー(Skew)のデータを見ると、オプション市場はビットコインが4月に3万8000ドルを超えている確率を52%としている。
ビットコインの相関関係
ビットコインと暗号市場全体の90日相関関係は史上最高水準に近く、暗号資産に分散投資したい投資家にとって難しい状況となっている。
一般的にアルトコインは、ビットコインよりもリスクが高いため、強気相場ではビットコインのパフォーマンスを上回る。一方、弱気相場では投資家はリスクを減らし、ビットコインがアルトコインを上回る。そのため、相関関係が高くなると暗号資産ポートフォリオのボラティリティを下げる余地は小さくなり、一部のトレーダーは様子見姿勢を取る。
相関関係の上昇は「市場の全体的なリスク回避センチメントを示している」とアーケーン・リサーチ(Arcane Research)はレポートに記した。「2020年夏は、ビットコインがアルトコインを上回り、相関関係は低下した。2021年1月に相関関係は底を打ち、その後、アルトコインがビットコインと同調し始めたため、相関関係は強まっている」
過去1年、暗号資産の間の相関関係が強まったため、アルトコインに資金を動かすトレーダーの意欲は小さくなっているとアーケーン・リサーチは述べた。つまり、ビットコインはアルトコインを上回る動きが強くなる可能性がある。
アルトコイン
●ファントム(FTM)上昇:プロトコルアップデート予定の発表をきっかけに、Fantom Networkのネイティブ暗号資産、ファントム(FTM)は過去24時間で10%上昇した。Fantom Networkは、DeFi(分散型金融)アプリケーションをサポートするレイヤー1ブロックチェーン。今後、メモリ消費量の低減、ストレージ機能の改善、新しいセキュリティ機能などでのネットワーク強化が計画されている。
●DeFiプラットフォームのAave、バージョン3をローンチ:Aave Companiesは16日、6つの異なるブロックチェーンにまたがるAave v3のローンチを発表した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Cryptos Recover From Drop After Fed Rate Hike; Expect Higher Volatility