元メタマスク開発者が取り組む「メタメタバース」とは

「メタバース」という言葉が、企業のマーケティング用語のようになりつつある今、イーサリアムウォレット「メタマスク(MetaMask)」を開発したジョエル・ディーツ(Joel Dietz)氏は、Web3(ウェブ3.0)本来のビジョンを実現しようとしている。

「メタメタバース(MetaMetaverse)」として知られるプロジェクトは、ディーツ氏を自身が「クリプト・リタイアメント」と呼ぶ状態から連れ出した。

ディーツ氏はメタマスクの開発に携わった後、数年間この分野から遠ざかっていた。だが今、この分野の新たな野心とWeb3開発の黎明期を思い起こさせるメタバースの概念に誘われて戻ってきた。

「メタメタバースに取り組んでいることは、個人的な責任感でさえある」とディーツ氏は語った。「イーサリアムの初期に関わった多くの人は、インターネットのあるべき姿について、きわめてユートピア的なビジョンを持っていた。いつの間にか忘れてしまったとは言いたくないが、今、メタバースとともに、我々は再びそこに戻ってきたように感じている」。

ディーツ氏が取り組んでいるメタバースが、「メタ」メタバースと呼ばれている理由は、相互運用性に重点を置いているからだ(メタ=旧フェイスブックのメタバース、という意味ではない)。メタメタバースでは、複数の異なるゲームエンジンを使用して、プロジェクトを構築することができる。

またメタメタバースは、独自のレイヤー1ブロックチェーンを備え、「メタメタラング(metametalang)」と呼ばれるプログラミング言語を使用することもできる。

未来は“キューブ”

メタメタバースは、ユーザーが所有できるバーチャル区画「キューブ」というコンセプトがベースになっている。キューブの中には、さらにキューブがあり、その中にもキューブがある。ディーツが「不思議の国のアリス効果」と呼ぶものが作られ、空間がそれ自体の中に組み込まれ、ユーザーはキューブの中に入り込んで、キューブの世界を体験する。

プレスリリースによると、プログラミング言語のメタメタラングは「キューブの内部でゲームやシミュレーションを実行したり、パラレルな世界をマッピングしたり」することに使用され、クロスチェーン環境で使用できる。

プラットフォームはまだ開発中で、チームは第一弾となる「Mars」空間でのバーチャル区間セールスについて発表していない。ディーツ氏は、メタメタバースがディセントラランド(Decentraland)やザ・サンドボックス(The Sandbox)といった既存メタバースを補完するものとして機能し、最終的には開発者にとって、制約がすくなく、相互運用性の高いものとなることを想定している。

「私はギーク、自分にとって本当に面白いことに取り組みたい。メタバースの未来のために、あらゆるリアリティをマッピングできる言語を開発することは、かなりクールだと思う。大きな利益を生み出す可能性もある」とディーツ氏は述べた。

メタメタバースは、2021年12月にシードラウンドの資金調達を行い、Polygon Studios、DAO Maker、Ghaf Capitalから、200万ドル(約2億4000万円)を集めている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:MetaMetaverseのWebサイト(スクリーンショット)
|原文:A MetaMask Founding Architect Is Building an Interoperable ‘MetaMetaverse’