LINE、NFTを本格展開──吉本興業やスクエニなどと100種類以上を出品【更新】

LINEがNFT事業を本格展開する。LINE子会社のLVCを通じて、4月13日に、NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」のサービス提供を始める。LINEが3月23日に発表した。

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

吉本興業やスクウェア・エニックスなどのIPコンテンツを活用し、100種類以上のNFTを出品する。当初、取り扱うジャンルはアニメやゲーム、お笑い、スポーツなど。

(「LINE NFT」ローンチラインナップ、LINE発表文より)

購入したNFTは、国内約9000万人が利用するLINEのアカウントで登録できるデジタルアセット管理ウォレットの「LINE BITMAX Wallet」で保管できる。NFTの購入だけでなく、LINEの友だちに送ることもできる。ローンチ時は日本のみでサービスを提供する。

Zホールディングスとの連携強める

今後、ソフトバンクやZホールディングスとの提携を強め、グループ内で保有するIPコンテンツやテクノロジーを活用していく。

(「LINE NFT」で連携するグループ各社、LINE発表文より)

ソフトバンクとは、同社が提供するB.LEAGUE を中心とした動画配信サービス「バスケットLIVE」において動画NFTの取り扱いを予定。コンテンツ配信サービス「5G LAB」とも技術的な連携を進め、XR技術を活用する。

「LINE GAME」や「LINE MUSIC」、「GYAO!」などのZホールディングスグループのエンターテインメントサービスを運営する「Z Entertainment」とは、動画やライブ配信などのエンターテインメント領域で協力する。

NFT購入時の決済手段として「PayPay」の導入を検討するほか、ヤフーが運営するネットオークション「ヤフオク!」との連携も進めているという。将来的には、「ヤフオク!」でNFTの出品・落札が可能になる。ファッション通販のZOZOとは、ファッションブランドのNFT販売を計画している。

LINEスタンプをNFTに

LINEによると、「NFTを所有するだけでなく、楽しめる機能実装する」という。LINEのプロフィールや、LINEスタンプでもNFTを活用を予定する。また、キャンペーンプラットフォーム「LINEで応募」などのサービスと連携し、景品としてのNFT活用シーンを増やしていく。

支払い方法は、LINE Pay決済に対応する。LINE Payは、クレジットカードのほか、セブン銀行のATMなどから現金でチャージしたLINE Pay残高、サービス利用で貯まるLINEポイントなどを利用できる。

LVCは2021年6月から、ユーザー間でNFTアイテムを取引できる二次流通マーケット「NFTマーケットβ」を提供してきた。LINE NFTは、NFTマーケットβの正式版にあたる。

基盤は「LINE Blockchain」

NFTの基盤には、独自チェーン「LINE Blockchain」を活用する。LINEは、トークンエコノミー構想を掲げており、LVCを通じて独自のブロックチェーンである「LINE Blockchain」と暗号資産の「LINK」を開発している。

LVCは暗号資産交換業者として、暗号資産取引サービス「LINE BITMAX」を運営。3月からテレビCMを展開している。さらに、「LINK」をオンラインショッピングで使えるサービスを試験提供し、日常的な利用シーンの拡大に取り組んでいる。

LINEは、「誰でも簡単にNFTにアクセスできる環境を提供し、Web3.0への入口をユーザーに届けていくことを目指します」としている。

NFTのグローバルエコシステム構築も進めている。子会社のLINE NEXTは3月16日、VISAやCrypto.comを含む26社とパートナーシップを締結。2022年上半期にも、グローバルNFTプラットフォーム「DOSI(ドシ)」をローンチする計画だ。

他チェーンとの相互運用にも含み

LVC林仁奎(イム インギュ)CEOは、イーサリアムなど、他のチェーンの相互運用性の実現を示唆した。時期は明言しなかったものの、「顧客ニーズによって対応する」と説明した。

(質問に答えるLVCの林仁奎CEO)

比較的購入しやすい価格帯でユーザーの始めやすさを重視する。林CEOはNFTについて、「Web3の入口だと捉えている。所有の概念を拡張する必要があり、今はインフラを整える段階」と話す。

グローバル向けに「DOSI」を展開する一方で、日本のみが「LINE NFT」としてローンチした経緯として「最大の理由は、著作権問題だ。LINE NFTでは、販売前に全て審査しているため、権利問題をクリアしている」という。

|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
|トップ画像:LINEの発表文より
|編集部より:LVCへの取材内容を追記して、更新しました