プロ野球開幕!NFTとメタバースでファンサービスが変わる

3月25日、プロ野球が開幕する。3年ぶりに観客の人数制限を設けずに迎える開幕戦に注目が集まるが、デジタルと融合した新たな取り組みが始まっている。

NFTとメタバースを取り込んだファンサービスを、複数の球団がスタート。「野球」と「ブロックチェーン」。一見、無関係に見える2つのキーワードだが、球団とファンをつなぐ技術として期待されている。

NFT(ノン・ファンジブル・トークン=非代替性トークン):ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンで、アートやイラスト、写真、アニメ、ゲーム、動画などのコンテンツの固有性を証明することができる。NFTを利用した事業は世界的に拡大している。

ファンの記念としてのNFT

ファンがデジタル上で記念になるものを保有できるNFTへの期待は大きい。パシフィック・リーグ6球団が出資するパシフィックリーグマーケティング(PLM)は、フリマアプリを手掛けるメルカリと共同で事業を展開。動画コンテンツをNFTで購入できるサービス「パ・リーグ Exciting Moments(エキサイティング・モーメンツ)」の運営している。

現在、ユーザーがNFTコンテンツを売買できる2次流通市場の開発を進めているという。ブロックチェーンは、カナダのDapperLabs社が開発した「Flow」を採用した。今後、暗号資産(仮想通貨)による決済手段の導入も検討していく。

セ・リーグでは、横浜DeNAベイスターズが「PLAYBACK 9」を展開している。「PLAYBACK 9」では、試合の名シーンなどをデジタルアイテムとして販売。LINEが独自に開発したブロックチェーン「LINE Blockchain」を採用し、デジタルアイテムは同ブロックチェーン上で発行される。

(「PLAYBACK 9」のイメージUI/DeNA提供)

BIGBOSS、新庄氏がNFTに

監督就任時から注目の的である北海道日本ハムファイターズ新庄剛志氏は3月24日、登録名を「BIGBOSS」に変更したことも話題となった。BIGBOSSの活躍ぶりは、ブロックチェーン業界でも発揮されている。

2021年12月、暗号資産(仮想通貨)取引所「BITPOINT」のブランドアンバサダーに就任。契約金の一部を暗号資産のジャスミー(Jasmy=JMY)で受け取った。

さらに、3月には自身初となるNFTの販売を発表した。NFT化した写真を1000万円で売り出している。ブロックチェーン基盤はイーサリアムで、NFTマーケットプレイスの「OpenSea」などで2次流通できる。

(3月22日、META ALL-STARSの記者会見での新庄剛志氏)

広島カープはメタバースに

広島カープは、仮想空間で試合観戦できるアプリを構築。メタバースアプリ「メタカープ」では、ユーザーが好みのアバターを設定できるほか、ファン同士で交流できるチャット機能も実装している。

(メタカープのイメージ/制作会社のビーライズの発表文より)

球団とファンの新たな接点として、デジタルを活用した取り組みが次々に生まれている。次はどの球団が斬新なサービスを打ち出すのか、2022年シーズンの注目ポイントだ。

|取材・テキスト:菊池友信
|編集:佐藤茂
|トップ画像:パシフィックリーグマーケティング(PML)の発表文より