バイデン米大統領は3月9日、デジタル資産に関する大統領令に署名した。政権幹部はこの大統領令について話す中で、人口の16%に当たる約4000万人のアメリカ人が、暗号資産(仮想通貨)の投資やトレーディングを行なっていると報告されていると述べた。
この発言は、2021年12月にグレイスケール・リサーチ(Grayscale Research)が発表し、アメリカ国民の26%がビットコイン(BTC)を保有していると報告したレポートとも一致している。ビットコイン投資企業NYDIGが2021年に実施した調査でも、成人アメリカ人の5分の1近い4600万人が、ビットコインを保有していることが分かっている。
暗号資産業界の関係者と会話する中でも、このようにアメリカでのビットコイン「普及」率が15%を超えているとの主張が聞かれる。しかし私からすると、このような主張は的外れだ。しかもおそらく、大きく外れているのだ。
真のビットコイン普及
なぜならば私の見解では、10ドル相当のビットコインを買うことは、本当の普及とは言えないからだ。ビットコインの場合、普及とは、世界で最高のハードマネー資産、つまり、厳格に限られた供給量を持つ通貨資産としてのビットコインの役割が認識されることを意味する。
ビットコインが、最もリスク調整され、最も流動性のある投資機会であると認めること。価値の保管と移動のための世界で最も価値のあるシステムになる途上だと、認めることなのだ。
そのような認識に基づくと、「普及」とは少しだけコインを買う人たちの広がりではない。資産のかなりの部分をビットコインに投資する人たち無くしては、普及とは言えない。
普及とは、バイデン政権が引き合いに出したような、人口の16%がビットコインを含む何らかの暗号資産を保有することではない。資産の20%以上をビットコインに投資している人の割合で判断するべきなのだ。
このような基準で普及を測ることは厳しい。それほど多くのビットコインを保有しているアメリカ人の割合は、はるかに少なく、おそらくわずか2%ほど。しかし、ビットコインが世界最高のハードマネー資産としての潜在力を発揮するようになれば、全資産の20%以上がビットコインという人たちの割合は、長期的には50%を超える可能性もある。
普及度
さらに、ビットコインは通貨資産であるため、個々人によって、普及の度合いも時間と共に拡大することができる。つまり、初心者が10ドル相当を買ってそのまま取引所に置いておき、その後ビットコインについてさらに学ぶに伴って、資産のより大きな部分を、ビットコインへと投資することもできるのだ。
そういう意味では、自家用車を保有するかしないか、モバイルコンピューターを保有するかしないかという風に、普及の度合いがほぼ2択である大半のテクノロジーの普及プロセスとは異なる。
ビットコインの場合、個人レベルでの普及は、まず足を踏み入れるところから、全資産のかなりの部分を投資するところまで変動していくのだ。
これは投資を考える上で、大切な意味を持つ。全資産の20%をビットコインにするのは行き過ぎと感じるかもしれないが、これはすでに起こっていることなのだ。
私はここ1年で、ビットコインを中心に事業を組み立てている数多くの金融アドバイザーから連絡を受けた。彼らの顧客は、ポートフォリオの1%をビットコインに分配しているのではない。10%から30%を分配しているのだ。つまり、株や債券、不動産ではなく、ビットコインが投資の中心となっている、ということだ。
ビットコインは次なるアマゾンではなく、次なる金(ゴールド)、または次なるS&P 500のようなもので、ポートフォリオで最大の資産クラスになる可能性もある。ビットコインの普及は始まったばかりで、その波に乗る方法を見つけることが賢明だ。
|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:What Does It Mean to Truly Adopt Bitcoin?