アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)関連の約6億2500万ドル(約770億円)のハッキング事件以降、プレー・ツー・アーン(P2E)ゲームは批判にさらされているが、別のタイプのGameFiが人気を集めている。
GameFi:ゲーム(Game)と金融(Finance)を掛け合わせた用語。特に、ゲームをプレーすることでトークンや金銭などを獲得できるものをPlay to Earn(プレー・ツー・アーン、P2E)と呼ぶ。東南アジアではゲームで得た収益で生活をするケースも出ている。
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Find Satoshi Labが手がけるソラナ(Solana)ブロックチェーンベースのmove-to-earnゲーム「STEPN」は、2022年第1四半期(1-3月期)に2600万ドル(約33億円)の収益をあげた。Move-to-earnは、Play-to-earnに似たコンセプトで、ユーザーは歩数に応じて暗号資産で報酬を得る。
「3月中旬時点で、デイリーのアクティブユーザーは10万人、以降、その数は倍増している」と最高事業責任者のシティ・マンガニ(Shiti Manghani)氏は述べた。
多くのP2Eゲームがオンラインゲームであるのに対し、STEPNはフィットネスやウェルネスに熱心なユーザーを引きつける新しいGameFiの事例となっている。このゲームのNFTを購入したユーザーは、歩いた分だけ報酬を得ることができる。
「実際の生活をベースにした暗号資産アプリケーションを多くの人に見せることにワクワクしており、STEPNはその最良の事例。STEPNは、すべての体験をシンプルかつシームレスにすることに成功している。1日10分運動することで、報酬を得ることができる」とあるユーザーは述べた。
STEPNは、ユーザーの歩数に応じて、ネイティブ暗号資産GSTで報酬を与える。CoinGeckoによると、GSTは過去30日で50%上昇、当記事執筆時点では4.80ドル付近となっていた。
報酬を得るためには、人気P2Eゲームのアクシー・インフィニティと同様にNFTを手に入れる必要がある。STEPNユーザーは、ゲームのモバイルアプリで暗号資産ソラナ(SOL)をNFTのスニーカーと交換する。そして、走り出す。
マンガニ氏によると、スニーカーNFTの取引高は1日1200万ドル(約15億円)を超えている。STEPNの魅力は「1000ポンド(約16万円)の自転車や家庭用フィットネスバイク『Peloton』を購入する必要がないこと」と同氏は述べた。
当記事執筆時点で、最も安価なNFTスニーカーは11.5ソラナ(約1100ドル、約14万円)。走って報酬を得るには、より高価なNFTスニーカーを手に入れる必要がある。
STEPNはレンタル機能の導入を計画している。スニーカーを所有していないユーザーは、他のプレーヤーのスニーカーをほぼ無料で借り、ランニングで得た収益を一定割合を提供する。
前述のユーザーは、レンタル機能はぜひとも必要と述べた。「STEPNのスニーカーは本当に高価になってきている」。
こうしたレンタル機能には、必要なNFTを購入できないプレーヤーが、少ない報酬で長時間のゲームプレーを強いられる「デジタル奴隷制」を生み出しているとの批判もある。
参加にコストがかからないゲームもある。Move-to-earnゲーム「Genopets」はまだベータ版で、プレーヤーはSTEPNに比べると少ないが、実際の生活の中で歩いた分だけ暗号資産で報酬を得ることができる。プレーと報酬の獲得に必要なNFTの発行に費用はかからない。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Raúl González/Flickr
|原文:STEPN Runners Undeterred by ‘Move-to-Earn’ Game’s Pricey NFT
※編集部より:本文を一部修正して、更新しました。