ホールセール・バンク、暗号資産市場での成長可能性:モルガン・スタンレー

ホールセール・バンク(大手法人に特化した銀行)は「デジタル資産革命」の始まりを傍観し、法人や機関投資家の顧客が昨年生み出した40億~50億ドル(約5100億〜6400億円)の収益のほぼすべてを逃してきたと、米投資銀行モルガン・スタンレーは4月12日付のリサーチレポートで指摘した。

ホールセール・バンクにとって最大のハードルは、明確な規制フレームワークの欠如とベッツィ・グラセック(Betsy Graseck)氏が率いるアナリストらは記した。だが規制強化は万能薬ではない。機関投資家の暗号資産市場への直接参加を促すことになり、ホールセール・バンクは依然として傍観者的立場に置かれるかもしれない。

しかし、ホールセール・バンクは「クリプト・ネイティブ」に対して、いくつかのアドバンテージを持ち、規制によって市場が変化するなかで追いつくチャンスが生まれるかもしれないという。

「規制環境下での運用経験、利幅が圧縮され資本要件が高まるなかでリターンを提供するように設計されたビジネスモデル、機関投資家クライアントにとって信頼できる取引相手であること」などは、ホールセール・バンクのアドバンテージとレポートは書いている。

モルガン・スタンレーは、暗号資産エコシステムに直接参加することによって、現時点でホールセール・バンクの収益は50億ドル(約6400億円)、経済価値は10億ドル(約1300億円)に上ると推定。さらに今後3年〜5年で、収益は160億ドル(約2兆円)に成長する可能性があり、ホールセールバンク事業のインフラの合理化から得られる効率的なメリットから、さらに多くのチャンスが生まれる可能性があると述べた。

ホールセール・バンクは、より規制が強化された機関投資家向けデジタル資産市場で成功するために必要な専門性とビジネスモデルの双方を兼ね備えているとレポートは付け加えている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Morgan Stanley Says Wholesale Banks Can Thrive in a More Regulated Crypto Market