暗号資産と株式の両方で9日、売り圧力が強まった。ビットコイン(BTC)は、昨年7月以来、初めて3万ドルに向かって下落。9日夜(日本時間10日朝)には一時、3万ドルを割った。
テクニカルチャートには、この1年の価格レンジの底となる2万7000ドル〜3万ドルの間でサポートが表れている。日足、週足、月足チャートのネガティブモメンタムは、ビットコインが2018年の弱気相場と同様に、さらなる下落リスクにさらされていることを示している。
ほとんどのアルトコインはビットコインのパフォーマンスを下回った。これは通常、下げ相場で見られるものだ。例えば、ポルカドット(DOT)、ディセントラランド(MANA)、ドージコイン(DOGE)は、ビットコインの11%下落に対して、24時間で17%を超える下落となった。
株式市場ではハイテク株が引き続き下落、S&P500は年初来の安値を更新した。
株式市場のボラティリティを示すシカゴ・オプション取引所のCBOEボラティリティ指数(VIX)は、2020年3月の高水準からの下落傾向を反転させ、過去数カ月間上昇を続けている。これは、さらなる価格変動の可能性を意味し、通常、トレーダーは下降リスクに対するリスクヘッジを強いられる。
最新の価格
●ビットコイン:31,302ドル、-9.48%
●イーサリアム:2,297ドル、-10.28%
●S&P500:3,991、-3.20%
●ゴールド:1,853ドル、-1.51%
●米国10年債利回り:3.08%
※データは米東部時間9日16時(日本時間10日6時)時点
「投げ売り」はまだ見られない
ビットコインのFear & Greed Indexは、ビットコインが3万2900ドル付近の安値を記録した1月24日以来の低水準となっている。
トレーダーがマクロ経済的・地政学的リスクに対処するなか、指数は過去1カ月、「極度の恐怖(extreme fear)」領域にとどまっている。ただし指数は価格上昇の前に数カ月間、「恐怖」領域にとどまることがある。例えば、2018年にはビットコインが弱気相場を脱するまでのほぼ1年間、指数は「恐怖」と「欲」の間で不規則な動きを見せた。
他の市場指標では、売り手の「capitulation(投げ売り、損切り)」のサインはまだ見られない。例えば、ビットコインの取引高は過去24時間に上昇したが、1月24日のピークを下回ったままだ。
さらにビットコインの短期保有者が依然として、売りを主導している。だがCryptoQuantのデータによると、ビットコインの売りボリュームは年初に比べると、さほど極端なものではない。
アルトコイン
●DeFiトークン、低迷:DeFi(分散型金融)のTVL(Total Value Locked)は、この週末に約270億ドルを失い、年初からの最低水準となっている。最大のTVLを誇るDeFiプロジェクト、Curveの時価総額は1週間で約10%下落、最大規模のステーキングサービス、Lidoは13%、テラ(Terra)ブロックチェーンのアンカー(Anchor)は21%下落している。下落は、トークン価格の下落と、暗号資産市場におけるリスクオフ・センチメントが原因となっているようだ。
●S&P、Compoundを格付け:DeFi(分散型金融)プロジェクト、Compoundの法人部門「Compound Treasury」は、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)グローバルから「B-」の格付け評価を得た。機関投資家向けDeFiサービスが大手格付け機関から評価されたのは初めてとみられ、Compound Treasuryのリード・カミング(Reid Cuming)氏は、機関投資家のDeFiに対する関心が高まっていることを示していると述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk/Alternative.me
|原文:Market Wrap: Cryptos, Stocks Tumble Amid Extreme Bearish Sentiment